表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追加ダメージ+9999の短剣拾った  作者: 赤戸まと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/61

41.素材管理部


 トレントから受け取ったキエンメ草を確認してみた。タイミングよく採取してくれたみたいで、鮮度バッチリだね。


 クヨリマ草はもったいなかったけど、もう一度集めることはできないな。これ以上採ると、せっかく仲良くなったトレントに怒られちゃうよ。

 トレントたちにばいばいして、森から出ることにしたよ。


 帰りは魔物と出くわすこともなく、安全にリヤカーのところまで戻ってきた。そろそろ日が暮れる頃だね。街に着くと夜になるはずだ。急ごう。


 ふんぬっ。処理済みとはいえ、蹴りうさぎの肉五匹分だ。リヤカーでひいていくのは大変だよ。

 勢いがつけばスムーズに運べるけど、道がでこぼこだからすぐ勢いが落ちるんだ。……ひい、はあ。これは疲れる。


 そういやヤーナさんが講評のときに言ってたな。『体力にはやや難あり』って。このことも見越して蹴りうさぎ五匹なんて指定してきたのかもね。

 体力もつけなきゃ。胸を張ってストーンランクだなんていえないよね。がんばろう!


 あっそうだ、脚力強化の魔法、使っちゃおうっと。


 おっ、踏ん張りが効いてズンズン進めるぞ。こりゃいいや! …………あう。魔力が切れちゃった。今日いっぱい使ったからね。


 もう! 余計に疲れちゃったよ! ズルはするもんじゃないね……。


 ***


 街に着いたよ。行きの倍くらいの時間かかったけどね。リヤカーをひいて、すぐ冒険者ギルドへ向かおう。


 ええっと、リヤカーに荷物を積んでいる場合、裏口の搬入口から入るんだったね。

 大荷物の場合、直接、素材管理部っていうところに持っていくんだって。


 こっちかな?

 ギルドの建物をぐるりと半周していくと、大きな出入り口が見えてきた。あそこが素材管理部かな?


 入口の中から、セイヤ! セイヤ! と威勢のいい声がひっきりなしに聞こえてくるよ。

 時折、怒鳴り声やら何かを叩きつける音、切り裂く音も響いてくる。


 ……引き返そうっかな。


 でも、リヤカーもここに返さなきゃいけないよ。仕方なく、入口からこそっと中を覗いてみる。


 そこでは――むくつけき男たちが数人、黒いエプロンをしてナタを振りかざし、魔物を捌いていた。


 あっ、一人に気づかれた!


「おう嬢ちゃんどうした? 魔物の買い取りか? こっちに持ってきな!」


 仕方ない。リヤカーをひいて搬入口から入っていったよ。

 四人いた男の一人が寄ってきて、リアカーの荷物を確かめた。


「ほう、蹴りうさぎか。……うん、血抜きの処理も丁寧だ。ちっこいのにやるじゃねえか!」

 がははと笑いながら、わたしの頭をガシガシ撫でる。

 もう! レディの頭を軽々しく撫でないで! わるい気はしないけどね。

 その人はもう一人を呼び寄せて、二人で蹴りうさぎの肉を台に載せていく。


「五匹もか。すごいなお嬢ちゃん。飴ちゃん食べるかい?」

 あとから来た人は優しそうな人だね。でも子供扱いしないでよね。れろれろ。


 冒険者たちが狩ってきた魔物を、ここの人たちが捌いてるんだね。毎日たくさん運ばれてくるから大変だろうに、威勢よくお仕事してるよ。

 怖そうだと思ったけど、みんないい人じゃん。


 肉を検品してたさっきのおじさんが戻ってきた。

「蹴りうさぎ五匹分の受領書だ。全部良品の満額査定だ。こいつを受付に持っていきな!」


 おじさんが渡してきた紙を受け取った。忙しいのに査定も早かったね。感謝の意を込めて、ペコリとお礼したよ。


「冒険者なのに礼儀正しい嬢ちゃんだなあ。あのヤロウに嬢ちゃんの爪の垢でも飲ませてやりてえよ!」


 あのヤロウ? なんか迷惑な人でもいるのかな?


「ああ、最近な。顔も名前も知らねえんだがよ、面倒くせえ珍妙な素材ばかり持ち込む奴がいるんだよ。古い資料で調べたり、各所に問い合わせたりしなきゃなんねえから、ここんとこずっと大変なんだよな」


 へえ、そんな人がいるんだ。こんないい人たちに迷惑かけるなんて、感心しないなあ。


 私はもう一度、素材管理部のみなさんにお礼を言って、リヤカーを片付けてからギルドの受付に向かった。


 ***


「はい。蹴りうさぎ五匹の討伐依頼、達成です」

 なじみのお姉さんに、さっきおじさんからもらった受領書を渡して、任務完了だ。

 ストーンランクの条件だった依頼も全部終わったから、これで文句なくストーンランクを名乗れるね。


 んー? まだ何かあったような?


 あっそうだ。私はカバンのなかにもう一つ戦利品が残ってるのを思い出した。

 そういえば、今日はサブマスはいないよね。


「安心して。サブマスターにはいちいち出てこないように注意しておいたわ。逆に注目を浴びてしまうものね」

 お姉さんよくわかってるね。あの子達に逃げられたのはサブマスのせいなんだよ。きっと。


「その代わり、ユリシィちゃんが持ってきたものは逐一、報告するように言われたんだけどね」

 物言いたげなお姉さんの視線。

 はいはい。ありますよ。変なモン素材。よいしょ、とカバンからそれを引っ張り出した。


 台にそれを置いた途端、お姉さんは目を剥いてびっくりしてた。

 確かに珍しいとは思うけど、そんなに驚くの?


「今日のお昼ごろに、ちょうど依頼があったところなのよ。いたずらトレントの樹皮なんて滅多に調達できないから、もしかしたら数年待ちになるかもって言ってたのに。今日それを持ってくるなんて……!」


 はあ……ホントに変なモンハンターの称号が確定しそうだよ……。

 いたずらトレントの樹皮の査定も、時間がかかるから後で振り込みになるんだって。


 最近はそんなのばっかりだなあ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ