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追加ダメージ+9999の短剣拾った  作者: 赤戸まと


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40/62

40.いたずらトレント


 いたずらトレントは大きな図体してるけど、枝の触手はなかなかのスピードで動くんだ。

 それにパワーがものすごい。ミスリルゴーレムに匹敵するぐらいあるはずだ。

 さっき巻き付かれていたら、一巻の終わりだったよ。


 触手がうねうね襲ってきて、本体に近寄ることもできない。やっぱり厄介な敵だね。


 でも早く倒さないと、キエンメ草を採取できるタイミングを逃しちゃう。

 どうする? 諦めて、他の場所を探す?


 ここを諦めて他の場所を見つけても、そこにも第三区画(エリア)の強敵がいるだろうね。

 だったら、ここでいたずらトレントを倒して採取する!


 それに、いたずらトレントはめったに現れない。あの浅黒い樹皮は、貴重な錬金術の素材になるって聞いたことがあるんだ。

 倒すっきゃないでしょ!


 距離をとってスリングショットを発射! ……だけど触手で弾き返されちゃう。

 すごい短剣で斬りかかっても、妨害してくる触手を斬るだけで、近寄ることもできない。


 あの触手……本当に厄介だなあ!


 蹴りうさぎのときみたいに、近くの木に登ってみた。高いところからの攻撃……でも結局触手の枝を伸ばしてくるから無意味だった!


 上からでもだめか。飛び降りて、今度は周囲をぐるぐる回ってみる。だけど後ろに回っても、こっちが見えてるかのように攻撃してきたよ。

 なんとか躱しながら一周回ってきた。

 目なんて無さそうなのに、どうやってこっちの位置を察知してるんだろう?


 体温? 呼吸? それとも魔力?

 うーん、何か突破口が欲しいな。…………仕方ない。


 この手だけは使いたくなかったけど。


 この手だけは使いたくなかったけど!


 私はカバンに手を突っ込んで、あるものを取り出した!

 ……それは、じゃーん! ミミレちゃんがランチ用に持たせてくれた、特製サンドイッチ!


 すっごく美味しそう! いただきまーす。あいたっ!


 手を噛んじゃった! だけどこれは想定通り……。木の上にはヤツが!


「ウキキ! ウキキ!」


 わかってたけど腹が立つ!

 ミミレちゃんのサンドイッチを盗っていったのは、思った通り食べ物目当てに姿を表した、横取りモンキーだ!

 すかさず、いたずらトレントの触手が横取りモンキーに襲いかかる。身軽なモンキーは躱して逃げていったよ。


 ――よし、特定した!


 いたずらトレントの感知していたものが、体温だった場合。横取りモンキーが姿を見せる前、サンドイッチに引き寄せられてやって来たときにすぐ触手で攻撃しているはず。気配を隠すのが上手い横取りモンキーでも、体温はごまかせないからね。


 呼吸だった場合。わたしがサンドイッチを食べる直前、横取りしようと襲いかかって来たときに攻撃しているはずだ。どんな生き物でも呼吸を止めながら激しく動くなんてできないからね。


 そして魔力だった場合。私からサンドイッチを奪い取った後のモンキーに攻撃するはずだ。横取りモンキーは目的を果たして気配を隠す必要がなくなったから、魔力を使って逃げるだろうからね。


 つまりいたずらトレントは、周囲の動く魔力を捉えて、攻撃していたんだ。


 だったら……これももったいないけど。

 私はさっきこそこそかき集めていた、貴重ハーブのクヨリマ草を取り出して、ちぎって周囲にばら撒いた!


 クヨリマ草はそれ自体に豊富な魔力を含んでいるから、魔力回復ポーションの素材になるんだ。珍しいハーブだよ。

 せっかく集めた……くすん……。


 だけど周囲に散らばるクヨリマ草をめがけて、いたずらトレントのたくさんあった触手が、攻撃に向いている。

 おかげで、本体への道が――開いたよ!


 脚力強化で魔法ダッシュ! 一瞬で懐にはいって短剣をズサリ!


 すぐさま魔法ダッシュで下がって距離を取る。敵は――。


 触手の端から萎れていき、てっぺんから枯れはじめた。よしっ、倒した!


 ……なんてぽけっと見てる場合じゃないよ。貴重な樹皮も上から枯れるのに合わせて、ぽろぽろ崩れてる!

 慌てて近寄って、下から樹皮を剥ぎ取っていくよ。


 短剣を素材採取用のナイフに持ち替えて、縦に切れ込みを入れる。横に引っ張ると、ベリベリって剥がれていくので、木の周りを一周回って剥がしていく。

 もう一度切れ込みを入れて二周目回った辺りで、時間切れだ。完全に枯死したよ。


 いたずらトレントの樹皮、二周分は無事に手に入ったけど、犠牲の多い戦いだったよ……。


 ミミレちゃんのサンドイッチに、貴重なクヨリマ草。それに、キエンメ草の採取のタイミングも逃しちゃった……。


 また他の場所を探さなきゃ、と考えてたら……。


 トントン。


 ん、また誰か私の肩を叩いてる?


 振り向いたら、そこには普通のトレントがいた。ああそうか、あなたがさっき教えてくれたんだね。いたずらトレントに狙われてることを。

 おかげで助かったよ、ありがとう。

 そのトレントにペコリとお礼のあいさつをしたよ。


 顔を起こしたときに、トレントが差し出してきたのは……あっ、キエンメ草だ!

 あなたが代わりに採取してくれてたの!? やった、ほんとにありがとう!


 トレントもなんだか嬉しそうにしてる。そっか、ここのトレントたちは、さっきのいたずらトレントにほとほと困らされてたんだろう。

 いたずらトレントを倒したことに感謝して、キエンメ草をプレゼントしてくれたんだね。

 キエンメ草を受け取って、トレントの枝と握手したよ。



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