38.後処理も大変!(※注:獣の解体描写があります)
初級ポーションを飲んで、お尻の打ち身を回復しておく。
一戦ごとにポーションが必要なのは効率悪いね。
おっと、倒した蹴りうさぎは、早くさばいておかないと。内臓がすぐ腐っちゃうんだ。
スコップで穴を掘って、匂い消しの雑草を敷き詰める。
持ち運び用の小さなハンドスコップだから、穴を掘るだけでも大変だよ。
穴の縁に、よいしょと蹴りうさぎの屍を置く。
体長は50センチくらいで、重さはだいたい7~8キロくらいかなあ。あんなにぴょんぴょん跳んでたのに重たいよ。
コイツを五匹運ぶなんてぜったい無理!
頸動脈をスパッとやって血抜きをするよ。
穴の中に血が流れ込むけど、時間がかかりそうだなあ。そうだ。
太めの木の枝を拾ってきて、うさぎの足を括り付ける。うさぎをなんとか穴に落とすと、木の枝が穴の縁に引っかかって、ちょうど吊るされたみたいになったよ。
このまま内蔵を取っちゃおう。
お腹のあたりから皮をはぐ。刃物を使えるのはここまでだ。内蔵を取り出すのは手作業でしなきゃいけない。
万が一内蔵を傷つけちゃうと、肉が台無しになっちゃうんだ。味も匂いもひどいことになっちゃう。
内蔵を全部取り出して血抜きも終わると、肉を取り出して穴を埋める。手についた血液も拭って、ハーブで消毒しておこう。
ふう。一匹処理するのも大変だよ。
おかげで重さは半分くらいになったけど、これを持ち運びながら探索は続けられないなあ。
仕方ない、一旦リヤカーに戻るか。
肉の保存にいいハーブならそこらへんに生えてるね。一緒に布にくるんで、抱えて持っていこう。
抱えて歩くことはできるけど、戦えないから探知しながら安全な道を進んで、入口まで戻ってきた。
肉をリヤカーに積んでおく。このあたりに来る冒険者なら蹴りうさぎくらい倒せるだろうから、わざわざここから盗まれる心配も無いよ。
でももっと方法を考えなきゃいけないね。こんなの繰り返すなんて大変だ。
***
一休みして、もう一度第二区画に戻ってきた。
いい方法は思いつかなかったけど、とにかく探して、倒していくしかないよ。
探知して、他の魔物は無視。蹴りうさぎは……なかなか見つからないなあ。
こっちの方は初めて来たあたりだな。
植生も変化して、向こうとは別種の草や木ももちらほら見かけるよ。こういうときってなんかワクワクするよね。
珍しい草花とかないかな~。
あっ、キョロキョロしてたら見つけたよ。カウコの実だ。
カウコの実は数がすくないから、見つけたらラッキーだよ。
高いところになってるけど、私なら――脚力強化! 魔法でジャンプ力を強化して届くんだ。
ひとつだけなってるカウコの実をもぎ採って着地。やったね。
味もけっこう美味しくて、珍しいから高価なんだ。八百屋に持っていったら400~800ペネくらいで買い取ってもらえるよ。
でもせっかくだし……食べちゃおっかな。
森でカウコの実を食べ歩きなんて贅沢だね。いただきまーす。あいたっ!
あれっ? さっき採ったカウコの実が無いよ? 手を噛んじゃった!
「ウキキ! ウキキ!」
ヤツだ! 木の上で馬鹿にした笑い方でカウコの実をかじってるのは――横取りモンキー!
また手癖の悪い魔物だよ! あいつらは気配を隠すのが上手いからやっかいだ。
リーバービーバーと違って武器とかは盗らないけど、あの猿の魔物は、食べ物を横からかっさらっていくんだ。
ああ……せっかくのご馳走を、猿のヤツが、食べちゃった……。がっかり。
横取りモンキーは食べ終わったらそそくさと逃げていったよ。もう!
そうだよ。森では何か食べるときは気をつけないといけないんだった。木の上から横取りモンキーが狙ってるんだ。
美味そうなカウコの実なんて持ってたら、そりゃ狙われ、る……。
木の上から、狙う……?
それだよ!
カウコの実は残念だったけど、代わりにいいアイデアをもらったから許してあげよう。
私は蹴りうさぎを探して、森の中を急いだ。
――いたいた。好物の草をむしゃむしゃしてる。
しばらく観察して、次に行きそうな草の場所に先回りだ。その近くにある木に、魔法ジャンブで登ったよ。
息を潜めて待ち構えて……しばらくするとさっきの蹴りうさぎが、真下の草をむしゃり始めた。今だ!
短剣を下向きに構えて飛び降りる! ヤツは気付いたものの、真上からの奇襲には上手く対応できないみたい。
サクッと貫いて倒したよ。着地も魔法のおかげでノーダメージだ。
やった、安全に倒せたよ。これなら何度でもできそうだ!
だけどやっぱり後処理は大変だよ……。血抜きに、リヤカーへの往復に。
残り四匹を倒すのは簡単だったけど、後処理でへとへとになっちゃった……。
でもこれで蹴りうさぎ五匹の討伐は完了! あとは第三区画に行って、キエンメ草の採取だね!




