表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追加ダメージ+9999の短剣拾った  作者: 赤戸まと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/61

37.キック対決


 蹴りうさぎを討伐するうえで、ひとつ問題がある。


 私はソロだから、討伐が終わっても、五匹分の肉をひとりで運べないんだよ!

 冒険者ギルドとディープルの森を何度も往復するのもいいけど、何日もかかっちゃう。


 そうだ、私ももうストーンランク。そろそろ仲間ができてもいい頃だ。パーティを組んで手伝ってもらおう!


 冒険者ギルドに入ると、ちょうど朝の混雑が解消されたくらいの時間だ。まだそこそこの人が残ってるよ。

 私と同じ年頃の冒険者たちもいる。声、かけてみよっかな……。


 でもなんか……。私の方を見ながら、みんなこそこそ話してるよ?


「おい、あの子この前、巨漢の男たちに姐さん呼びさせてた奴だぞ……」

「私の聞いた話だと、あの神速の剣姫と合同任務してたって噂よ」

「俺は見た! あの子が買い取りの列に並ぶと、サブマスターがわざわざ出てきて対応してたんだ!」


 んん~?


「あ、あのう……。よければパーティ組みませんか?」

 思い切って声をかけてみたけど……。


「ひえっ! めめめっそうもない! 俺達なんてまだ駆け出しで……」

「ごめんなさい! 私たち全然、雑魚なので……。足を引っ張るだけですっ!」


 あれれっ? 逃げられちゃった、がーん……。

 どうして私には、仲間ができないんだよう……。くすん。


 仕方ないから、ギルドでリヤカーを借りたよ。


 ***


 いろいろあったけど、やることはシンプルだ。

 蹴りうさぎを五匹倒して、キエンメ草を採ってくるだけ。


 イシイオ草も採れるけど、ミミレちゃんに聞いたらまだ前回の分残ってるみたい。今回はスルーだね。


 蹴りうさぎの生息地は第二区画(エリア)だ。でもディープルの森の資料を調べたら、キエンメ草は第三区画(エリア)に生えてるようだ。

 第三区画(エリア)は、蹴りうさぎよりもっと怖い魔物が出るんだよ。


 自分で採取するって言った手前、行かなきゃいけないよね。気をつけなきゃ。


 そういえば、森に行くならモラリちゃんに森読みを教えたほうがいいかな。

 いや、モラリちゃんのお家はお金持ちなんだった。素材は全部買ったり依頼したりだよね。自分で採取する必要は無いか。


 私は準備を整えて、一人でディープルの森に向かったよ。


 今日もいい天気だよ。空気も美味しいし、街道沿いの眺めも長閑で和むね。……この後の討伐さえ無ければ、だけど。

 蹴りうさぎとの対決に備えてイメージトレーニングしてたら、思い出したんだ。


 あの時、蹴りうさぎが蹴っ飛ばした、もりもりディアーの痛がる顔を!

 ぶるる……。あんなの喰らったら、私なんてひとたまりもないよ。ヤーナさんが指定するくらいだから、勝てはするんだろうけど……無傷で済むといいなあ。


 森の入口に到着したよ。ここからはリヤカーをひいて行けそうにないね。

 よく見ると、他にもリヤカーをここに置いていてる人がいるみたい。何台か、木にロープでくくりつけてあるよ。

 なるほど、みんなああやってここにリヤカーを停めて森に入るんだね。

 わたしも同じように適当な木にロープでつなぐ。人通りも多少あるみたいだし、リヤカーの形もそれぞれ違うから、盗まれたり間違えて持っていかれることは無いだろう。


 身軽になったので森へ入っていく。やっぱり森はいいね。ダンジョンや遺跡より馴染んでるよ。薬師だからね。

 それでも第二区画(エリア)に来ると、やっぱり警戒しなきゃ。


 気配を探ると、ぽつぽつと魔物がいるっぽい。今回は蹴りうさぎ以外はスルーだよ。体力はできるだけ温存したいし、荷物が多くなっても困るからね。


 いくつかの気配をスルーして歩くと、ちょっと遠くにいた。蹴りうさぎだ。

 だけどこれ以上近づくのはまずいよ。ヤツは出会い頭にいきなり飛び蹴りしてくるくらい、好戦的なんだ。


 そうだ、ここからスリングショットで狙ってみよう。

 弾をつがえて狙いを定めて……いや、ここからじゃ届かない。もう少しだけ近寄って……それに狙いをやや上に向ければ届きそう。

 スリングショットの特殊効果で、これで当たるはずだと、なんとなく分かる。この位置から発射だ!


 やや山なりの弾道で、蹴りうさぎに向かって石が飛んでいく。だけどその分スピードが落ちて、気づかれた!


 ヤツはぴょーんと石を躱す! やっぱりかと予測はしてたので、こっちもすぐ短剣に持ち替えた。

 それと、新必殺技も出すよ――脚力強化!


 足がフワフワする、あの感覚。すぐに蹴りうさぎの飛び蹴りが迫ってきた。避けなきゃ、と考えると同時に足が動いたよ。


 躱されるなんて思ってもみなかったんだろうね、蹴りうさぎは驚いた顔してる。

 そこへ短剣を叩きつけた……けどあっさり逃げられる。ヤツは左右にぴょんぴょん跳んでるよ。


 むっ、チカチューとは違う動き。やりにくいな。


 蹴りうさぎの討伐ランク自体はそんなに高くない。人によっては角ムカデのほうが苦手だって人もいるくらい。

 蹴りうさぎはスピードも蹴りの威力も高いけど、所詮攻撃は蹴りしかない。それに防御力も低いから攻撃の上手い人なら簡単に倒せるんだ。


 だから私みたいにすごい短剣じゃなくっても、そのへんの武器でも当てれば倒せる。

 そう考えたらやっぱり私とは相性が悪いよ。すごい短剣の意味がないんだもん。


 魔法のおかげでスピードだけはついていけるようになったよ。

 集中すればなんとか蹴りも避けられる。だけどそのかわりに、こっちが攻撃する余裕が無いんだ! 躱すだけで精一杯。


 膠着状態になりそうだけど、ようやくわかってきた。

 チカチューと違って跳躍力もあるから、動きは読みづらい。だけどヤツの蹴りは……。


 もりもりディアーのときもそうだったけど、ヤツはだいたい相手の顔面を狙って飛び蹴りするんだ。


 それがわかったからといって、安易に、ヤツが飛び蹴りしてきたら顔の前に短剣を添えればいい、って考えるのは危険だ。

 だってそれで倒しても、飛び蹴りの勢いがなくなるわけじゃない。そのままヤツの蹴りが飛んできて相打ちになるだけだ。


 じゃあ、どうする――?


 蹴りうさぎは、次の飛び蹴りの予備動作の跳躍をしている。――来るよ!


 私は少し低く構え、ヤツの飛び蹴りに合わせて――こっちも飛び蹴りだ!


 どこに蹴りが飛んでくるかわかってるおかげで、お互いのキックがぶつかりあった! 威力は――脚力強化のおかげで互角だ!

 しかもこっちだけ足の耐久力も上がってるから痛くない! あいたっ!


 飛び蹴りしたから落ちた時にお尻打っちゃった! 足は痛くないのに!


 蹴りうさぎは私に蹴られて痛がってる……今だ! なんとかお尻の痛みをこらえて、この隙に短剣を突きつけたよ。


 ……はあ、はあ。


 ようやく一匹倒せた。だけどこんなやり方じゃあ、あと四匹なんて体が保たないよ。もっと簡単に倒す方法を考えなきゃ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ