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追加ダメージ+9999の短剣拾った  作者: 赤戸まと


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32.またなんか拾った


 六層のL字通路の先は行き止まりだったよ。隠し通路はここでストップなの?


 だけどよくみたら……あっ、上の方に魔泥のカタマリがあるよ。採っていこう!


 なんとか背伸びして届く高さだけど、固まってて剥がせない。素材採取用のナイフだと刃こぼれしそうだなあ。よし、短剣を使おう。


 ……んん、待って? 前に一度、同じことしなかった?


 そうだ、ここの一層で同じような場所があって、短剣が折れちゃったんだ! 危ない危ない。


 短剣で剥がすのは止めておこう。すごい短剣だけど、魔物との戦い以外では普通の短剣だからね。

 となると、あれを使おう。さっき捨てたスリングショットの弾だ。

 ひとつ拾ってきて、スリングショットで魔泥のカタマリに、ていやとぶつけた。カタマリはポロッと剥がれたけど、一緒に衝撃で壁が崩れちゃったよ!


 あの時と同じだ! 崩れた壁の向こう側に、空間があるよ!

 魔泥のカタマリも瓦礫に埋まっちゃったけど、採れる分だけは、せっせと採っていく。瓦礫に上って壁の穴を覗いてみたら、やっぱり小部屋になってて……あ!


 部屋の真ん中に、宝箱だ!


 慌てて壁の穴を乗り越えようと……しないよ。

 もう私もストーンランク冒険者。慎重さを身につけたんだ。慌てたってろくなことがないよ。


 後方よし。足場よし。――安全を確認して、穴を覗く。小部屋の隅から隅までチェックだ。トラップも魔物も……心配なさそうだね。


 壁の穴を乗り越えて、降りる……前に、念のため瓦礫のカケラをひとつふたつ落としてみる。向こうの足場も問題なし。


 無事に小部屋に降り立った。……問題は宝箱だよ。いかにも何かありそうだね。


 冒険者になった時に色々講習を受けたんだ。トラップの見破り方や外し方も習ったよ。あくまで初歩を一通りってだけだから、本職のスカウトには全然敵わない。


 でも諦める、って選択肢は無いよね。


 宝箱をじっくり観察する。座るのにちょうどいいくらいの高さ。だけど上部の蓋部分は丸くなってるから座れないよ。

 木製で、つなぎの部分だけ金属で補強してある。

 壊して開けるのは論外だよ。トラップがあるなら、壊した瞬間、毒ガスが吹き出たり爆発したり、普通に開けるよりひどいことになるんだ。蓋の留め具や蝶番を外すのも同じく駄目。こういうのは正攻法が一番いい結果につながるんだよ。


 むーん、と宝箱の前で考え込んでしまった。


 ――待って、これミミックって可能性もあるかも。


 ミミックは宝箱の魔物だ。

 通常は宝箱に擬態した魔物で、宝箱を開けたら、中の魔物が襲いかかってくるよ。宝物だと思ったら魔物だなんて、がっかりだよね。

 他にも、長いこと発見されなかった宝箱が、ダンジョン内の瘴気に晒されて、魔物化したものもあるんだって。


 ここは隠し部屋の宝箱だから、その可能性もあるね……。

 後者の場合は、ミミックを倒したらもとの宝箱の中身が出てくるからラッキーなんだ。


 宝箱がミミックかどうかの見分け方は、本当は困難なんだけど、私の場合は……実は簡単なんだ。


 こうやってほら。短剣を軽く当てるだけ。


 本物の宝箱なら、こつんと音が鳴るだけだけど、ミミックなら――。


 魔物相手の場合にだけ発生する追加ダメージで、こんなふうに……真っ二つだ! こいつやっぱりミミックだった!


 木箱が割れて、中からもにゅもにゅしたナニカが、ぱたりと息絶えた。あぶなーっ。


 ふう。短剣があって本当に良かったよ。

 そして木箱の中に、もにゅもにゅの他にも何かあるよ。これは……魔法のスクロールだ!


 やった。これはお宝だ。取り出していそいそと開いてみる。

 魔法のスクロールは、一度だけ誰でも魔法が使えるタイプのものと、魔法使いが魔法を習得するためのものがあるんだけど。


 見た感じ、何が書いてあるかさっぱりわからないや。


 でもよく知ってるものもあるよ。最後の方に、短剣の柄頭にあるような、紋が刻まれている。これに、魔力を流し込んでみよう。


 あっ、短剣のときと同じように紋が光ったよ。そしてスクロールの文字全体に通った魔力が逆流してきて、私の体の中にまた戻ってきた。

 同時にスクロールの文字が消えて、ただの紙になっちゃった。


 やっぱりへんな感じだ。だけどスクロールの内容が自然と理解できたよ。


 これは習得のスクロール。


 覚えた魔法は――『脚力強化』だ。


 やった、やった、やった! 私――魔法、覚えちゃった!!


 魔法を覚えるって、すごいことだよ! 魔力のある人はそれなりにいるけど、それを魔法という形で使える人は、ほんの一握りなんだ。

 魔法使いの弟子になって何年も修行するか、冒険者が運よく習得のスクロールを手に入れるかしかない。


 そのほんの一握りの人に、私がなっちゃったんだよ!



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