28.試験結果は?
「基礎知識と索敵能力は優秀。判断力は……まあ発展途上といったところだが、ストーンランクの基準は満たしてるだろう。体力にはやや難あり。戦闘能力は……まず経験不足だな。ただ、自身の弱みを正しく把握して、工夫を凝らしてそれを補っているところは好感がもてる。伸びしろは大きいと思うよ」
ヤーナさんが、今回の試験の講評を述べた。
冒険者ギルドの会議室。
サブマスターのオジサン、ヤーナさん、受付お姉さんが試験について話し合っている。私は縮こまって隅で聞いているよ。
オルディ砦遺跡の調査依頼については、成功扱いだ。調査内容も適切で、丁寧に遂行できてるって褒められたよ。
依頼達成報酬が7200ペネ、ハングリードッグの牙四本200ペネ、紛失武器の回収費用はヤーナさんと折半で3500ペネをもらったよ。
リーバービーバーの出っ歯と討伐報酬は、鑑定と現場調査が終わってから振り込まれるんだって。
遺跡への、除霊師の派遣も決まった。これでゴーストも出なくなって、村のおじさんたちも管理がしやすくなるだろうね。
それで試験の判定だけど……。
ヤーナさんの講評を聞いても、いいのか悪いのかよくわからない。三人が話し合ってるのを聞きながら、ドキドキと結果を待つよ。
おっ、結論が出たみたい。三人がこちらを向いた。
お姉さんが一歩前へ出て、にっこり笑顔。
「おめでとう、ユリシィちゃん。条件付きで、ストーンランク昇格よ」
やたー! ストーンランク! これで一人前の冒険者だっ! 飛び上がって喜んじゃったよ。
いえーい! お姉さんとハイタッチ。
「…………んっ、ごほっ……んんっ…………!」
あれ? ヤーナさん風邪かな? やたら咳をして、右手を上げたり下げたりしてるよ?
呆れたお姉さんがヤーナさんを引っ張ってきた。あっ、ヤーナさんもハイタッチしてくれるのかな? いえーい!
目を逸らしながらも、ヤーナさんも付き合ってくれたよ。嬉しいね。
それでサブマスはどこへ行くの? でっかい図体をかがめて、こっそり出ていこうとしてるけれど。
呼び止めて四人でもう一度。いえーい!
***
一度解散になって、サブマスとヤーナさんは自分の仕事に戻っていった。
お姉さんと私は受付ホールに戻ってきたよ。
「それで条件付きの件だけど」
あっ、そんなことを言っていた気がする! ストーンランクになって喜ぶのはまだ早かったかな?
お姉さんは依頼書をニ枚取り出した。
「ユリシィちゃんにはストーンランクの初仕事として、こちらの討伐依頼を受けていただきます」
ヤーナさんの評価によると、私の魔物討伐の経歴が特殊すぎるんだって。それでもっと通常の戦いの経験を積むために、相手を選んでくれたそうだ。
その相手がさ――いままでスルーしてきた、巨大コウモリと蹴りうさぎなんだよ!
空を飛ぶ巨大コウモリに、チカチューとは違う動きをする素早い蹴りうさぎ、どっちも苦手なやつだよ。ヤーナさん、的確に嫌なところを突いてくるなあ。
それぞれ五体ずつ倒してくるのが今回の依頼だ。
巨大コウモリの羽は錬金術の素材に、蹴りうさぎの肉は食材に、それぞれ良い値段で売れるよ。安定して倒せるようになれば、そこそこいい収入源になりそう。
「そうそう。東沼ダンジョン周辺の調査は終わったわ。ヌシももう出現しそうにないから、解禁よ」
おおっ! じゃあ、巨大コウモリの討伐ついでに、ルオナ草も採取できるよ。ハングリードッグを倒す時に大分使っちゃったからね、補充しよう。
ようし、まずは東沼ダンジョンで巨大コウモリの討伐だ!




