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追加ダメージ+9999の短剣拾った  作者: 赤戸まと


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25.遺跡探索


 オルディ砦遺跡は防護壁が周囲をぐるっと取り囲んでいて、外敵の侵入を拒んでいる。

 それも一昔の話で、今はところどころ崩れているところがある。苦も無く立ち入ることができたよ。


 砦の内部も複雑に入り組んで……いたんだろうなあ。

 そう思わせる残骸があちこちに散らばっている。


 倒れた石壁、石柱、積み上がった瓦礫。

 村のおじさんたちが管理してるだろうから、崩れ落ちそうなところはなくて、見た目よりは安全だよ。


 だけど注意深く周囲を探ると……一匹、魔物の気配がある。

 ヤーナさんはもちろん気付いてるだろうけど、何も言わない。これは試験なんだ。


 短剣を抜き、瓦礫から向こうをのぞき見る。うろうろしてる犬のような魔物だ。……ハングリードッグか。


 ハングリードッグは犬の魔物だけど、腹ペコだから動きは緩慢だ。その代わりすごく攻撃的だよ。いまもヨダレを垂らしながら、歯をむき出しにして唸っている。

 強さとしてはウッドランクでも対処できるレベルだ。あんまり相手をしたくない魔物だけどね。


 ちょうどこちらが風上だ。嗅覚の鋭い犬の魔物だから、すぐに私たちに気付いて襲いかかってきたよ。

 うわ、すごい牙だ。怖いけど……。私は握りしめた手を掲げて、パッと開いた。


 手の中に仕込んでいた、ルオナ草を粉末にしたものが空中に飛び散った。それはこちらに向かってきていたハングリードッグの顔に降りかかる。


 キツイ匂いの薬草だよ。犬の嗅覚にはたまらないだろうね。

 嫌がってもがいてるハングリードッグに向かって、えいやっ。短剣を振り下ろしたよ。


 当たった感触も感じないのに頭がまっぷたつ。すごいね。


 いそいそとハングリードッグの尖った牙を剥ぎ取る。上下合わせて四本で200ペネだ。


「なるほど、それがユリシィさんの快進撃の理由か。固定の追加ダメージ。しかも数値はかなりあると見た」


 すごい! 短剣の柄頭を直接見たわけでもないのに、ヤーナさんはズバリ言い当てた! さすがはゴールドランクだ。


「おっと、安心してほしい。この試験で知り得たユリシィさんの戦い方の情報は、決して漏らさない。ギルドともそういう制約を交わしてるんだ」


 まあバレても困るってことはないと思うけどね。


 それにしても今のハングリードッグくらいなら、村のおじさんでも倒せそうだよ。

 ただ紛れ込んでいただけで、今回の依頼とは関係なさそうだな。ざっとみたところ、もうこのあたりに、他に魔物の反応もないし。


 しばらく歩くと、広場があってその向こうに大きな建物が見えてきた。

 何かあるとすればあの中だろうね。


 広場を通り抜けると、砦の中心部の要塞だ。大きな扉の入口は開け放たれているから、中に入れそうだ。お日さまはまだ高いけど、内部はひんやりして薄暗い。

 見通しもわるいから、ここからは注意を一段階あげないと。


 さて、この要塞はヤーナさんに聞いた通り地上三階、地下ニ階で構成されている。どこから探索していくか。

 ヤーナさんはもちろん口出ししない。うう、こういう判断も試験官としてチェックしてるんだろうなあ。


 まあ順当に上からだよね。地下にいる時に上から襲われたらたまったもんじゃないし。

 というわけで、まずは砦の三階を目指す。


 壁はところどころ崩れてるけど、階段はわりとしっかりしてるよ。

 探知を飛ばしながら上っていくけれど、魔物の気配は無さそう。三階、ニ階と歩き回って、特に成果はなかった。空振りだ。


 ということは、問題があるのは地下だね。


 一階に戻ってきて、地下への階段を発見! さあ行くよ。


 砦の地下一階は陽の光が入らないので真っ暗だ。松明をつけよう。

 後ろからついてくるヤーナさんは小型のランタンを腰につけてるよ。いいなー、腰につけるタイプか。両手があくから便利だよね。ヤーナさんは両手剣使いだからね。

 私は右手に短剣、左手に松明で両手が塞がっちゃうよ。後でどこで買ったか教えてもらおっと。


 事前の調べによると、地下一階は物置部屋がいくつかと、多目的用の大部屋が二つ。地下二階は捉えた捕虜用の地下牢と倉庫だ。


 物置部屋を順に見ていく。お宝とかがあったりして? 見つけたらもらっていいのかな~。

 探したけれどなんにも無かったよ。割れた土器とかレンガとかガラクタばかり。そりゃそうか、村の人が管理してるもんね。


 次は大部屋だ。一つ目はがらんとしてて何も異常なしだったけれど、問題は次の大部屋だ。魔物の気配が四つもあるよ!


 これはまずいなあ。とりあえず姿だけでも確認しておくか、なんてのんきに考えてたら、異変が起こった。


 隣の部屋、つまり壁の向こうにいるはずの四つの魔物の気配が、こちらに向かって来ているのだ。

 慌てて短剣を構える。ヤーナさんも両手剣を抜いて待機してるよ。だけど手出しはしないはずだ。試験だからね。


「危なそうなら手を出すけど、最初は自分でやってみて」


 ですよね。

 魔物は壁の向こうだけど、そのままこちらへ向かって……あっ、壁をすり抜けてきた!


 出てきたのは、白くてフワフワ浮いてる――ゴーストだっ!



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