表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追加ダメージ+9999の短剣拾った  作者: 赤戸まと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/61

19.ミスリルゴーレム


 四層に降りたら、それまでとは空気が一変した。

 細身の弓使いから徴しゅ……お借りしたランタンを掲げても、なお見通せない闇が続いている。


 少し肌寒くなって、岩壁もやや湿り気を帯びてぬめっとしてるよ。

 息苦しさは、空気が薄くなったせいか。それともこの奥にいる、ヤバい魔力のヤツのせいか。


 この魔力を辿って進んでいるけれど、相手も少しずつ移動してる。ゴブリンたちもコイツには近づきたくないのか、付近にいないのが助かる。


 この先にいるのが思い通りのヤツなら、勝算はある。だけどもちろん頭の中のイメージだけで、実際にそのとおりに私が動けるかは別だ。本当は逃げ出したい。

 でもさっきの倒れてた、泡吹いた冒険者たちの顔を見たらさ。放っておけないよ。


 奴が歩くたびに響く振動が、大きくなってきた。近いよ。


 この曲がり角のちょい先――。こそっと覗くと、いた。


 どデカい図体の、ミスリルゴーレムだ。


 実のところ、本来ゴーレムは魔物ではない。元はこの鉱山が運用されていた頃に、作業用として使役されていた、ただの土人形だ。優秀な魔法使いに製作された疑似生命体。だけど鉱山が枯渇し、役目を終えたときには、土人形も用無しとなって放置される。鉱山作業しかできないし、魔法使いが魔力を注がないと動き続けないからね。


 放棄された鉱山跡は空気が淀みやすく、瘴気が溜まりやすい。その瘴気が土人形に残っていた魔力と作用して、ゴーレムとして魔物化するんだ。

 運悪く、この鉱山にミスリルを形成するガスも残ってたんだろうね。そのガスも一緒に混ざって、あの厄介なミスリルゴーレムへと発展したんだろう。

 そのミスリルゴーレムも、仲間を生み出そうと同様のガスを口から放出する。それが松明の煙と影響しあって毒を生み出した。それが今回の出来事の顛末だ。


 つまりコイツを倒せばだいたい全部解決する!


 てやああ。私は怖いのを抑え込んで飛び出した。ミスリルゴーレムは……壁を殴ってる!

 ヤツは鉱山で働いていた頃の命令を忠実に守ってる。つまり、壁を掘り進めてるんだ。


 背後から短剣を構えて走り寄る。相手ものろいけど、私だって速いわけじゃない。ドタバタしてるのに気づかれたよ。


 ミスリルゴーレムはこっちを向いてその拳を振り上げる……! わあ、逃げろ!


 慌てて距離を取った後、私がいたところに轟音とともに大穴が空いたよ。

 足は遅くても腕を振り回す速度はけっこう速い! 第一作戦は失敗ね。


 パワーは流石に強いなあ。あれに当たったら私なんてイチコロだね……。

 体がミスリルでできてるから、ふつうの刃物は通らない。魔法の耐性もあるんじゃないかな。あれを倒せる冒険者はそうはいないはず。この短剣、ホントに通用するかな?


 でもとにかく当てることだ。私は懐から薬を三粒取り出して口に放りこんだ。二つはさっき作った丸薬だ。あのゴーレムが吐き出すガスを知らない間に吸い込んでる可能性があるから、念のため飲んでおく。もう一つは……薬師のとっておき、『集中丹』だ。


 集中丹は体の集中力を高め、一時的に動体視力や反応速度を向上させる薬だよ。切り札だけど、一分程度しか持たない。効果が切れたら反動でものすごくだるくなるから使いたくないんだよね。でも今がその切り札を使う場面だ。


 これが第ニ作戦。あの拳の速度ならこれで多分かわせると思うんだけど、念のため第三作戦も併用しよう。薬師は戦えない分、切り札をいっぱい用意してるんだ。


 もう一度ミスリルゴーレムに突撃しつつ、手に持った水袋をヤツの足元にぶちまける。ただの水じゃないよ。さっき、丸薬で使った残りの山芋粉を全部混ぜ込んだ、特製のぬるぬるの水だ。

 知能のないゴーレムならすてんと転んで……なんて上手くはいかなかったものの、少しだけ、ぐらつかせることはできた。


 無理な態勢からゴーレムが拳を振り回してくるけど、これなら避けられる!


 わたわたと華麗にかわして、がら空きの無防備なゴーレムの背中に短剣を叩きつけたよ!


 これまでと違ってほんの少しだけ抵抗があったけど、それでもすごい短剣はミスリルゴーレムの体を切り裂いた。

 巨躯が剥き出しになって、核のようなものが見えた! 


 ていやとそこへ短剣を突き刺す。


 でっかいミスリルの宝石みたいな核が真っ二つになって、ミスリルゴーレムは完全に動きを止めた。うわわ、倒れてくる!


 あわてて離れたけど、ものすごい振動が伝わってきて飛び上がっちゃった。うう、しびしびするよ。


 そっと倒れたゴーレムに近寄って調べたら、もう動かないし、口からガスも出てないみたい。任務完了だ!


 この核、真っ二つに割れちゃったけど高く売れるかな? うひひ、持って帰ろうっと。


 なーんてあさましいことをことを考えてたのが悪かったのかも。


 集中丹の効果が切れて座り込んだ私を、ニヤケ顔のゴブリンたちが取り囲んでいたのだ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ