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追加ダメージ+9999の短剣拾った  作者: 赤戸まと


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18.デンジー廃鉱山ダンジョン


 栗色の髪のお兄さんと、たまたまそこにいた二人組の冒険者――おっと、最初に丸薬を買ってくれた人たちだね――が救出に向かうことになった。

 私も行くと言ったら反対されるかな、って思ったけど、薬師として信頼してもらえたみたい。二人組の冒険者が推薦してくれたんだ。


 四人でダンジョンに入る。もちろん松明じゃなくてランタンを持ってね。


「三層までの場所は覚えてる。付いてきてくれ」

 栗色の髪の人が唯一のブロンズランクだから臨時のリーダーになった。二人組はその一つ下、アイアンランクだって。


 一層を軽く通り過ぎ、ニ層からは、やや複雑な迷路になってる。

 鉱山跡のダンジョンだけあって草の一本も生えてない、ゴツゴツの岩場だ。空気も心なしかどんよりしてる。ランタンの灯りだけが頼りで見通しもよくない。でも人が倒れてるなら早く行かなきゃ。


 手持ちの解毒ポーションは実はあと一本ある。だけどおばあちゃんからきつく言われてるんだ。最後に残ったポーションは、必ず自分が飲みなさい、と。

 危機が迫った状況で薬師が倒れたら最悪だ。たとえ悪者扱いされることになっても、自分が飲んで、生き残って周囲の患者に対応し続けなさい、と。


 おばあちゃんの教えを反芻しながらダンジョンを進む。


 しかし、さすが男の人は歩くの速いなー。歩幅も大きいし。遅れてはぐれないようにしっかり着いて行こう。


 ゴブリンだ!


 ダンジョン内だからやっぱり魔物は出るよ。

 私には短剣があるけど、ゴブリンは駄目だ。奴らは知性があるからね。知能は低くても、簡単な罠や誘導には引っかからないんだ。そういう戦い方を得意としてる私とは相性が悪いんだ。


 えっ、じゃあ相性のいい魔物なんかいるのかって? ふふん、前まではいなかったけどね。今はこの短剣があるよ。だから短剣が当てられるような――そうだな、硬くても遅くて、的が大きくて、知性がないヤツ。そう、ここのゴーレムなんかだと相性がいいんじゃないかな!


 おっと、今の敵はゴブリンだ。私は隠れて他の三人に任せよう!

 彼らも私がただの薬師で、戦力には数えてないみたい。あっという間にゴブリンをやっつけたよ。私は隠れて見てただけだ。


 ……まさか、役立たずの薬師は追放だ、なんて言われないよね? ね?


 栗色の髪のお兄さんは剣士で、二人組の冒険者の、筋肉の人は斧を、細身の人は弓を武器にしてる。臨時のパーティなのに連携もしっかりしてるね。戦いで私が出しゃばる必要はなさそう。


 剣士の人が、気が急いているのか、早足で急ぎ気味に進む。ああっ速い。こんなところで置いていかれてゴブリンに囲まれでもしたら……。ブルルッ、嫌な妄想して寒気がしたよ。


 こんな調子でニ層から三層へと進んで行った。


「こっちだ、向こうの岩陰に休ませている。嬢ちゃん、例の丸薬を飲ませればいいのかい?」

「うーん、それは症状を見てみないと……」


 岩陰の方に進むと、ぐったり倒れた冒険者たちが見えてきた。巨漢の三人の男たちが青い顔している。呼吸も荒く、内一人は口から泡を吹いてる……まずい!


「みんな、持ってるポーション出して! 早く!」

 普通に水で丸薬を飲むよりも初級ポーションで流し込んだほうが効果が上がるんだ。

 ポーションを持ってたのは栗髪が一本と、筋肉が一本。私が二本持ってるからそのうちの一本を使おう。


 二人から受け取ったポーションを見たけど、うーん。質があまり良くないなあ。鑑定の資格を持ってるわけじゃないから正確な判断はできないけど、私が持ち歩いてる微妙なできのヤツのほうがまだマシだと思う。でも今はあるだけで助かる。初級ポーションの定価である1000ペネを二人に渡す。


「いやこんな時に金なんていいって」


 冒険者はいいんだろうけど、薬師の私はこれで生きてるんだ。曖昧にはできないよ。あとでこの倒れてる三人からキッチリ取り立てる予定だしね。


 みんなで手分けして倒れた三人に丸薬とポーションを飲ませていく。ややあって、だんだん症状が落ち着いてきたみたい。とりあえず危険な状態は脱したよ。

 ただ、歩けるまでには回復しそうにないから、元気な三人が巨漢の三人をおぶって戻らなければならない。そうすると、戦えない薬師は完全に足手まといだ。それに……。


 ――治すだけなら二流。そもそもハナから怪我や病気にさせないのが一流の薬師ってもんさね。


 私には、まだここでやるべきことがあるんだ。おばあちゃんの言葉を思い浮かべて、宣言する。


「薬師緊急指令を発動します! 三人は病人を連れてすぐにこのダンジョンを脱出すること。私は薬師としての仕事があるので残ります」


「な、何言ってんだ嬢ちゃん。あんたを一人残して行けるわけないだろ!」

 筋肉の斧使いと、細身の弓使いが抗議するけど、ブロンズランクの栗髪は薬師緊急指令について知ってたみたい。みたいだけど……。


「くっ、しかし……。一体何をするつもりだ? それだけでも教えてくれ」

 本当に置いていくかまだ迷ってるようだ。優しい人達だな。


「この毒の発生についてある程度見当がついたので、大元を絶ってきます。大丈夫、身を守る術はありますよ」

「……信じて、いいんだな?」


 私は自信たっぷりに頷いた。だから安心してくれ。


 三人は、渋々病人を担いで戻っていった。さて、では私は逆方向。下の四層にいる、この禍々しい魔力をビンビンに放っている魔物に、会いに行くことにしますか。



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