第12章:最終戦 ― 世界修復戦 scene1 最終戦開幕 ― 神殿が“戦場”になる
魔力の濃霧
重力方向の局地反転
描写ポイント
魔王は中央に固定されているように見えるが、実際は神殿全体と同化
魔力偏向が進むにつれ、戦場は「普通に戦うほど不利」になる
ヴィオレッタ(心)
(動くボスじゃない)
(“フィールドそのもの”が敵)
→ ここで殲滅戦を選ぶ者は詰むと即座に理解。 小説化
古代封印神殿・最深層。
一歩、足を踏み入れた瞬間――
世界の感触が変わった。
床を覆っていた石畳が、まるで生き物のようにせり上がる。
次の瞬間には沈み、また別の場所が隆起する。高低差は不規則で、意図的な悪意を感じさせた。
濃い魔力の霧が視界を奪う。
ただの遮蔽ではない。魔力そのものが濁り、視覚と感覚の両方を狂わせてくる。
重力が、ずれる。
前へ踏み出したはずの足が、横に引きずられ、上へと持ち上げられる。
局地的に方向を変える重力反転――神殿全体が、侵入者を拒絶していた。
中央。
淡く脈動する魔力中枢の前に、魔王は立っている。
一見すれば、動かない標的。
儀式の核として固定された存在に見えた。
だが――
ヴィオレッタは、違和感を正確に掴んだ。
ヴィオレッタ(心)
(違う)
(あれは“そこに立ってる”んじゃない)
(神殿そのものと、繋がってる)
視線を巡らせる。
床の隆起のタイミング、霧の濃淡、重力の反転位置。
すべてが、中央の魔力脈動と同期していた。
魔王が動かないのではない。
神殿全体が、魔王の延長なのだ。
魔力偏向が進むたび、戦場は露骨に牙を剥く。
前に出るほど、強力な魔法を使うほど、地形は荒れ、環境は不利になる。
――真正面から殴り合う者ほど、早く詰む。
ヴィオレッタは、即座に結論を出す。
ヴィオレッタ(心)
(動くボスじゃない)
(“フィールドそのもの”が敵)
そして、自然と戦い方が切り替わった。
(殲滅戦……選んだ瞬間、負け)
(これは――)
(戦場制御戦だ)
彼女の視線は、もはや魔王ではなく、
神殿全体の「ルール」と「癖」を読み取るように走っていた。
この瞬間、
最終戦は――ただの決戦ではなくなった。
勝つために倒す相手は、目の前の魔王ではない。
世界の歪みそのもの。
ヴィオレッタ・アルマリクは、
神殿を“戦場”として認識した。




