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scene9 小規模勝利 ― だが本命は先に
夜営地の焚き火は、穏やかに揺れている。
兵士たちは互いに声をかけ合うこともなく、ただ火の前に座り、今日一日を振り返っていた。
斥候や魔獣との交戦を生き延びた者たちの瞳には、安堵と疲労が混ざる。
その静寂の中で、ふとした声が響いた。
ドレイヴが、低くつぶやく。
「……お前の戦い方は、優しいな」
ヴィオレッタは首を横に振る。
「違います」
「ただ、勝つ条件を間違えていないだけです」
火の光が彼女の表情を照らす。
その瞳には、躊躇も慈悲もなく、ただ冷静な判断力だけが宿っていた。
ナレーション的に、世界の変化を伝える。
殺すことが強さだと信じられていた戦場で、
生き残らせる戦術こそが最強であることを、ヴィオレッタは証明した。
サバゲー――遊びとして笑われていた競技は、
現実の戦争における最短の勝利ルートとなる。
そして、前線で静かに火を囲む兵士たちの背後に、
魔王軍との本当の決戦が迫っていた。
夜空の星々の下、戦争の意味は確かに変わったのだ。




