scene7 学園到着
馬車がゆっくりと速度を落とし、豪奢な石造りのアーチをくぐる。
――王立エルディナ学園。
魔法と戦技、そして“魔法サバゲー”の最高学府。
蓮は窓越しにそびえ立つ校舎を見て、胸が高鳴った。
(すげぇ……生で見ると圧巻だなこれ。
ゲーム画面より百倍豪華じゃん)
馬車を降りると、すでに校門前は多くの生徒で賑わっていた。
皆、ドレスや制服の上から魔導装備を整え、
まるでこれから戦場へ向かう兵士たちのようだ。
◆ 校門前のざわめき
「昨日の大会見た? クロス隊がまた優勝だってよ」
「マジ? あそこの隊長エグいもんなぁ……
魔力制御だけでプレッシャーかけてくるし」
「でも今年は王子のチームが本気らしいぜ」
「え? また“王家式フレア戦術”やるの?」
蓮は思わず立ち止まり、耳をそばだてた。
(……王子のチーム、本気ってマジ?
ゲームでは主人公チームの噛ませ扱いだったのに……)
別の方向からも声が聞こえる。
「新入生の中に“スカウトの天才”が来るって噂だぞ」
「去年のジュニア杯総合優勝の子だろ? やばいよな」
(……スカウトってことは、索敵系の子か。
これ絶対、後で仲間になるやつだろ……)
ゲーム知識が脳内で警告灯のように光る。
◆ 生徒たちの装備に驚愕
蓮は校門前に並ぶ生徒たちの“魔導銃”に目を奪われた。
青い銃身に風属性の紋章。
重厚な黒鉄型の近接射撃用モデル。
金糸の魔法陣が刻まれた狙撃特化ライフル。
どれも美しく、戦闘的で――たまらなく格好いい。
(うわ……これ全部、競技用カスタムかよ!?
貴族の装備、レベル高すぎるだろ……!)
生徒たちは慣れた手つきで装備点検をしていた。
「魔力残量よし」
「セーフティ結界ON」
「照準補助、反応問題なし!」
蓮はその光景を見て、鳥肌が立った。
(……完璧だ。この世界、文化レベルでサバゲーに本気すぎる)
◆ 周囲の視線
そんな中、蓮――ヴィオレッタが校門をくぐった瞬間、
周囲の生徒たちがざわっとした。
「……あれ、ヴィオレッタ様じゃない?」
「本当だ……今日も怖……あれ?」
「なんか雰囲気違くない……?」
蓮は微笑み、軽く会釈する。
「おはよう」
その瞬間、生徒たちは一斉に固まった。
「えっ、笑った!? あの人が!?」
「やば……どうしたの今日……?」
(おいおい、どんだけ嫌われてたんだヴィオレッタ……)
内心ツッコミながらも、蓮はまっすぐ校舎へと歩き出す。
◆ 心情
(……よし、みんな強そうだし。
こんな環境で学べるなら、絶対に最強になれる)
その目は、もはや悪役令嬢ではなかった。
サバゲー戦士の、獲物を見つけた時の目だ。
(ここからだ……俺の第二人生の本番は)
朝陽に照らされながら、
蓮は学園の門を堂々と進んでいった。




