scene7 エピローグ・ラスト ― 未来へ続く引き金
夕暮れが、さらに一段深くなる。
学園フィールドは、柔らかな橙色に包まれていた。
遮蔽物の影に身を潜めていた後輩の一人が、息を詰める。
索敵は不完全。
位置も、まだ甘い。
それでも――
「……今だ」
小さく呟き、迷いながら引き金を引いた。
乾いた音。
魔力弾が飛び、被弾判定の光が一瞬、空を走る。
しかし。
判定は、セーフ。
「うわっ、惜しい!」
「今の、角度良かったぞ!」
フィールドに、笑い声が弾ける。
悔しさと楽しさが混ざった、健全な音だった。
ヴィオレッタは、その光景を静かに見つめている。
(勝ちたいなら)
心の中で、いつもの答えをなぞる。
(まず、生き残る)
魔力も、位置も、仲間も。
すべてが残っていれば、選択肢は尽きない。
(それは、世界でも同じ)
かつて彼女が引いた引き金は、
誰かを倒すためではなく、
“次の一手を残すため”のものだった。
その思想は、もう特別なものではない。
こうして、笑い声の中に溶け込んでいる。
――遊びを極めた者が、
世界の戦い方を変えた。
そして今日もまた、
誰かがサバゲーを通して
「正しい勝ち方」を学んでいく。
物語は、終わらない。
引き金を引く音が――
未来へ、静かに続いていく限り。




