scene2 後輩たち ― 価値観の継承
剣士志望だが戦争観に疑問を持つ生徒
学園大会で彼女の指揮を見ていた世代
描写
目を輝かせて集まる新入部員
「魔王を倒した戦い方」を真似しようとするが失敗
ヴィオレッタの指導(淡々)
「当てることが目的じゃない」
「“撃たなくて済む位置”を考えて」
→ 戦術思想が、技術より先に伝わる 小説化
◆ シーン2:後輩たち ― 価値観の継承(小説化)
可動式遮蔽物の間を、魔力弾が軽く弾けた。
「うわっ!?」
「今の、当たってないよな?」
被弾判定の魔導具が淡く光り、
戦闘不能の文字が浮かび上がる。
「え、ちょっと待って!?」
騒然とする声の中心で、ヴィオレッタは腕を組んだまま、静かに様子を見ていた。
集まっているのは、学園サバゲー部――初期メンバー。
初心者魔導師、剣士志望の生徒、そして学園大会を観客席から見ていた世代。
誰もが共通しているのは、目の奥の光だった。
「今の動き、魔王戦の再現だろ?」
「ヴィオレッタ様、あの時も正面から――」
「違う」
淡々とした声が、場の熱を一度切った。
ヴィオレッタはゆっくりと歩み寄り、撃破された生徒の立っていた位置を指差す。
「それ、当てに行ってる」
生徒たちは顔を見合わせる。
「え……でも」
「当てないと、勝てないんじゃ……」
剣士志望の生徒が戸惑いながら言った。
「剣でも魔法でも、敵を倒すのが――」
「目的じゃない」
即答だった。
ヴィオレッタは遮蔽物の陰に立ち、少しだけ身体をずらす。
その瞬間、彼女の姿はほとんど見えなくなった。
「ここ」
「この位置なら、撃たなくていい」
「撃たれないから」
初心者魔導師が息を呑む。
「……見えない」
「そう」
ヴィオレッタは頷く。
「撃たなくて済む位置を考える」
「それが、先」
「当てる技術は、後でいい」
生徒たちは、しばらく言葉を失っていた。
誰もが、これまで教えられてきた戦い方と、まったく逆だったからだ。
やがて、一人がぽつりと言った。
「……じゃあ」
「魔王を倒した戦い方って」
「真似るものじゃない」
ヴィオレッタは少しだけ視線を和らげる。
「考え方を使うもの」
その言葉に、空気が変わった。
魔力弾の撃ち方でも、剣の振り方でもない。
“どう勝つか”の前に、
“なぜ戦うか”と“どう生き残るか”。
価値観が、静かに受け渡されていく。
ヴィオレッタは一歩下がり、再び壁際に戻った。
(……ちゃんと伝わる)
技術は真似できる。
だが思想は、理解した者にしか残らない。
それでいい。
それでこそ、続いていく。
学園サバゲー部は、この日――
ただの部活動ではなく、戦い方の文化になり始めていた。




