scene7 関係性の再定義 ― 対等な距離 その後
レオンは、少しだけ肩をすくめて笑った。
さっきまでの緊張が、嘘のようにほどける。
「なら、追いつくしかないな」
軽い調子で、けれど真っ直ぐに。
「君の“優先順位”に」
冗談めかしているのに、逃げはない。
期待も、強要も、条件もない。
ただ――同じ高さに立とうとしているだけだ。
ヴィオレッタは一瞬、言葉を失った。
(……この人)
胸の奥で、小さく何かが鳴る。
(分かってきたな)
守る側でも、守られる側でもない。
王子と令嬢でも、英雄と一般人でもない。
同じ戦場で、
同じルールを読み、
同じ勝利条件を目指す者同士。
ヴィオレッタは、ほんの少しだけ口元を緩める。
「……追いつけるといいですね」
挑発でも、拒絶でもない。
“対等な相手”に向けた、ごく自然な返事。
レオンはその言葉を聞いて、静かに息を吸った。
(ああ)
(これは、恋だな)
だが同時に理解する。
今はまだ、告白の続きはいらない。
必要なのは――
並んで立てる距離。
夕暮れの庭園で、
二人の関係は“恋未満”ではなく、
“対等”という名前に、静かに置き換えられた。




