scene2 凱旋 ― 英雄として迎えられる違和感
王城バルコニーには王族と重臣
群衆の声
「あれが魔王を止めた英雄だ!」
「若い女性だぞ……!」
ヴィオレッタの反応
圧倒的に居心地が悪い
視線が多すぎる
立ち位置が分からない
ヴィオレッタ(心)
(……サバゲーの表彰式の方が楽だったな) 小説化
王都の門が開かれた瞬間、
轟音のような歓声が押し寄せた。
「おおおおお――っ!!」
魔導式の祝砲が空を裂き、花弁が舞う。
大通りの両脇には市民が溢れ、騎士団と討伐隊の行進を迎えていた。
王都・帰還式。
王城のバルコニーには王族と重臣が並び、
その視線が、自然と一人の少女へ集まっていく。
「見ろ……あれが魔王を止めた英雄だ!」
「え、女性!? あんな若い……」
「学園の令嬢だって聞いたぞ……!」
歓声は称賛であり、祝福であり、
同時に――遠慮のない好奇心でもあった。
ヴィオレッタは、その中心に立たされていた。
拍手。
歓声。
無数の視線。
どれもが悪意ではないと分かっている。
分かってはいるのだが――
(……居心地、悪いな)
背筋を伸ばし、形式通りに立ってはいるものの、
どうしても身体の置き場が分からない。
誰の隣に立つべきなのか。
どの表情が正解なのか。
ここで求められている自分は、何者なのか。
戦場では、そんな迷いは一切なかった。
やるべきことがあり、
役割があり、
勝利条件が明確だった。
だが今は違う。
「英雄」という曖昧なラベルだけが貼られ、
その中身を、周囲が勝手に想像している。
ヴィオレッタは、そっと視線を逸らす。
(……サバゲーの表彰式の方が楽だったな)
勝った理由が明確で、
拍手の意味も単純で、
終わったら解散。
あの空気の方が、ずっと健全だった。
再び上がる歓声の中、
彼女は小さく息を吐いた。
――戦争は終わった。
だが、“英雄として生きる”という別の戦場が、
どうやら始まってしまったらしい。




