scene5 陣取り戦 ― 魔王を“囲う”
クロス隊は魔王由来の高圧魔力を正面で受け止める
ドレイヴ
「ここは俺が抑える」
→ 王者は“破壊”を担当
→ ヴィオレッタは“制御”を担当
結果
魔王の行動可能範囲が徐々に狭まる
神殿の偏向率が数値として下がり始める 小説化
神殿の空気が、さらに張り詰めた。
魔力の奔流が正面から押し寄せる中――
別方向から、重い足音が重なった。
「来たか」
ヴィオレッタが視線を向けるより早く、
その声は魔力の壁を割って響く。
クロス隊、合流。
完成された陣形のまま、
一切の迷いなく戦場に踏み込んでくる。
ドレイヴは前に出た。
魔王由来の高圧魔力が渦を巻き、
周囲の空間が悲鳴を上げる。
だが――
「ここは俺が抑える」
短い一言。
それだけで、クロス隊が動く。
王者の役割 ― 破壊
正面から、逃げない。
避けない。
受け止め、叩き返す。
ドレイヴの魔導武器が唸り、
魔力の衝突が真正面で激突する。
爆風が広がるが、
それ以上、魔王の圧は前に進めない。
ヴィオレッタは、別の方向を見る。
最強の役割 ― 制御
「――今」
その一言で、
彼女の罠が“陣”へと変わる。
魔力流逆転陣が拡張され、
重力落とし穴が連結し、
共鳴妨害フィールドが輪を描く。
それは攻撃ではない。
囲い込み。
魔王が動こうとするたび、
選択肢が一つずつ消えていく。
右へ行けば、重力が狂う。
左へ行けば、魔力が戻る。
前へ出れば、クロス隊が待つ。
後退すれば、偏向点が削れる。
魔王の可動範囲が、
目に見えて狭まっていった。
シエラの報告が、震えを帯びる。
「偏向率……下がってます」
「数値、下方修正を確認!」
ミリア
「神殿の魔力循環、安定に向かってる……!」
ガイル
「来るやつ来るやつ、止めてるぞ!」
神殿が、呼吸を取り戻し始めていた。
魔王は、動きを止めた。
いや、止めざるを得なかった。
魔王
「……囲われている」
「私が、動くほど……」
視線が、ヴィオレッタに向く。
「世界が、私を拒絶していく……」
ヴィオレッタは静かに答える。
「拒絶じゃない」
「元に戻ってるだけです」
ドレイヴが一歩、前に出る。
魔力の圧を真正面から受け止めながら、
笑った。
「聞いたか、魔王」
「王者は、殴る」
「だが――」
ヴィオレッタが続ける。
「勝つのは、陣を取った側です」
神殿全体に走る、淡い光。
偏向率の数値が、
確実に――下がり続けていた。
魔王は、初めて理解する。
これは力比べではない。
これは逃げ場のない、陣取り戦だ。
そしてその中央で、
ヴィオレッタ・アルマリクは静かに立っていた。
引き金を引かずに、
世界を制圧する指揮官として。




