scene4 罠フェーズ ― 世界を“削る”
魔王の力が「世界を壊す」ほど、自身の安定性が下がる
魔王の反応
初めて焦りを見せる
「……誘導しているな?」 小説化
ヴィオレッタは、引き金に指をかけなかった。
代わりに――
足元の魔導刻印を、静かに起動させる。
神殿の床に走る、淡い光。
それは攻撃魔法ではない。
罠だ。
「第一段階、展開」
彼女の呟きと同時に、
空間そのものが“噛み合わなく”なる。
魔力流逆転陣
魔王から溢れ出た魔力が、
神殿を侵食しようとした瞬間――
流れが、反転した。
本来、外へ拡散するはずの魔力が、
偏向点へと引き戻される。
神殿の壁が、軋む。
魔王
「……?」
それは初めて聞く、
理解できない現象への反応だった。
次の一歩。
魔王が重心を移動させた瞬間、
床が“抜ける”。
重力落とし穴
視覚的には何もない。
だが、その一帯だけ、
重力方向が一瞬で反転する。
神殿の床が、
内側へと“落ちた”。
轟音。
石柱が砕け、
魔力中枢へ繋がる配管の一部が剥き出しになる。
ヴィオレッタ(心)
(壊してるのは、あなた自身)
魔王は力を振るう。
魔力の波動が神殿を満たし、
空間が歪む。
だが――
魔力共鳴妨害フィールド
その歪みは、
共鳴しない。
神殿と魔王の魔力が噛み合わず、
振動が“打ち消し合う”。
結果。
魔力は強くなればなるほど、
制御を失い、
神殿構造だけを削っていく。
魔王の動きが、わずかに鈍る。
魔王
「……おかしい」
「力を使っているのに、
安定しない」
その声に、
初めて“焦り”が混じった。
シエラの声が飛ぶ。
「偏向点、三つ目が露出!」
ミリア
「魔力過熱、抑えてます!」
ガイル
「近づくやつ、全部止めてる!」
完璧な分業。
完璧な進行。
ヴィオレッタは、魔王を見据えない。
視線は、
次の偏向点。
次の“削る場所”。
魔王が、低く唸った。
「……誘導しているな?」
ヴィオレッタは、ようやく彼を見る。
冷静で、淡々とした目。
「ええ」
「あなたじゃなく――」
「世界の歪みを」
魔王は理解した。
これは殴り合いではない。
耐久勝負でもない。
世界そのものを、戦場にした攻略戦だ。
魔王
「……なるほど」
「これは――」
「最終戦、というより……」
ヴィオレッタ
「バグ修正です」
引き金は、まだ引かれない。
だが世界は、確実に削られていく。
魔王が動くほど、敗北に近づく形で。




