転生と王との謁見
光に包まれた研究室。黒瀬 帝は目を閉じ、試薬の匂いと電気回路の熱を感じていた。次の瞬間、閃光が目を貫き、爆発の衝撃で全てが消えた。
目を開けると、視界は荒れ果てた世界だった。焦げた木々が黒く立ち枯れ、幹はねじれ、倒れた建物の梁が不自然に突き出している。空気は重く、硫黄と煙の匂いが鼻を刺す。足元の灰が舞い、小石が踏みしめるたびに転がる。
遠くの山影で、龍の翼が激しく羽ばたいていた。羽ばたくたびに熱気と灰が風に乗って頬を打つ。龍の吐息のような熱気がかすかに漂い、空気が揺れているのが感じられた。
「……ここは……?」
手を伸ばすと、微かな振動が空気に伝わり、倒れかけた瓦礫がわずかに揺れた。指先にチリチリとした感覚が走る。前世にはなかった力――魔力――が、体内を脈打つように流れている。
瓦礫を踏みしめながら進むと、黒と金の鎧を纏った使者が現れた。剣を軽く掲げ、帝を見据える。
「黒瀬 帝、王がお呼びです。帝国跡地の開拓を命じたいと――貴公なら必ずや成し遂げられると考えております。」
帝は荒野を見渡す。倒れた建物、焦土、黒煙。そして遠くで揺れる龍。微振動の感覚が、荒野の魔力の残滓と連動していることに気づいた。
「……面白い。」
口元が緩む。前世では経験できなかった挑戦が、ここにある。荒廃地を前に、帝は心の中で決意を固めた。
「この地を、荒廃のままにはしておけない……地球以上に発展させる。」
使者は微かに笑みを浮かべ、帝の腕を軽く指し示した。
「こちらです、王宮へ。廊下には帝国の財宝や龍の鱗、剣などが飾られています。目にするものすべてが、この世界の歴史です。」
王宮への道は、長い石造りの廊下が続き、薄暗い中に魔力の光がわずかに揺れていた。壁には龍の鱗が輝き、古びた剣が斜めに並ぶ。帝の手元の魔力が微かに反応するたび、廊下の光が揺らめいた。
歩きながら、帝は独り言を呟く。
「魔力……いや、これだけじゃない。体内に眠る力を使えば、理論を実践に変えられるかもしれない……」
王宮の門をくぐると、静寂と魔力の気配に満ちた図書館が待っていた。積み重なった魔法書、埃、微かに揺れる魔力の振動。帝は深く息を吸う。
手を軽くかざすと、床の埃が渦を巻き、倒れかけた本棚の本がゆっくりと整列し始める。荒廃した世界に、体内の力が確かに影響を及ぼした瞬間だった。
少し息を整える。周囲を見渡すと、荒廃地の魔力が手の感覚に響いていた。黒瀬 帝の挑戦は、今ここから始まる――理解するのは理論だけではない。体感して、証明して、未来を切り拓く。この手で。
次回の投稿は、10月15日pm19:50です




