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王室騎士”ルナ=アイヴィー”

貧しい農村生まれの王室騎士”ルナ=アイヴィー”。彼の王室での暮らしはゴールデン真っ只中だったが、王様の一言で一転してしまう。騎士と皇女。これは立場も生まれも全く違う、2人のお話。

「お前に皇女ルシア=アイリスの側近護衛を任せる。」

「・・・は?」





貧しい農村出身だった俺。毎日朝から夜まで仕事尽くしだった俺にとって、たまに村へ来る冒険者から剣術を教わることが唯一の楽しみだった。たまたま通った王室の使いに気に入られ、金に釣られた親に売られてからは、王様直属の騎士として日々鍛錬を続けていた。ーーーそれが俺、“ルナ=アイヴィー“なのである。柔らかな銀髪、ルビーのような紅い瞳、少し幼さが残る顔立ち・・・我ながら容姿は可愛い系だと思う。ただ、身長が165前後なのは気に入らないわけで。ッあ〜〜〜、何でもっと背が伸びてくれなかったんだ!俺だってもう16だってのに・・・。

「ああ、アイヴィー!良いところに・・・って、・・・頭抱えてどうしたの?」

「・・・リノア。」

窓に映った自分自身に念を送っていると、背後から声がした。振り返ると、小柄な女性が。桃色の頭髪に翡翠の瞳。幼児体型ではあるがとてつもなく可愛いオーラを放つコイツは、俺の同期、“リノア=アイリス“。家系は皇室らしいがワケアリで、というかリノア本人が騎士になりたいと両親を押しきったらしい。女なのにスゲーよなあ。

「アイヴィー?」

「苗字呼びやめろっつったろ。」

「ふふっ、じゃあーー・・・ルナくん?」

「気色悪イーーッ!!」

慣れない呼ばれ方すると鳥肌立つのはこういうことか。分かりやすく両腕を抱えていると、目の前でぷくっと頬を膨らまされる。

「何それー!アイヴィーったら、そんなに私のこと嫌いなわけ!?」

「あーーおん。嫌い嫌い。」

「ひっどーーい!!」

しくしくと泣き真似をするリノア。・・・無視して良いか?はあ、と一つ溜息をつく。手にはめていた純白の手袋を外しては、彼女の頭に手を置く。そのままくしゃっと髪を乱したら、なにするのって怒られた。

「髪崩れたじゃん!」

「泣いてっから、悲しいのぶっ飛ばしてやった。」

「・・・なにそれ。」

俺がニヤリと笑うと、それとは逆に顔を背けるリノア。・・・何だよ。ああ、俺のことが嫌とか?ぶっ飛ばすぞ!

ギャンギャンといい言い争いを続けていると、ルア=アイヴィー、とフルネームを呼ばれた。知らない人だけど、リノアが頭を下げたところを見るに、きっと偉い人なのだろう。ハッとして、俺も慌てて礼をする。

「ルア=アイヴィーですね。旦那様からお話があります。私について来てください。」

「え。ああ・・・はい。」

旦那様って誰?と一瞬思ったが、すぐに王様のことだと理解した。そしてコイツ・・・間違えた、この人は服装的に執事か?いいなー、執事ってかっけえ。本が大量の部屋で眼鏡かけて仕事してんのかなー、憧れだわ。俺ならすぐ空気に耐えれなくなって投げ出しそう。はははーー(棒)。


「旦那様、失礼致します、私です。」

『ああ、入れ。』

コンコン。どうでもいい事にうつつを抜かしていると、彼は躊躇いもなくドアノブに手を添える。そうノック音が鳴る。キイ、と扉が開くと、この国で一番偉い例の方が・・・!

「・・・貴様、私の顔に何かついてるか?」

「えっあっいえ何でも無いです!」

王様に溜息をつかれる。隣に立つ執事から肘でつつかれる。粗相な真似はするなってことか?スミマセン。アー。まあいい、座れ。そう言われてはシュバっと滑り込むように指示されたソファへと腰掛ける。視線は上下左右へと彷徨うが、やがて覚悟を決めては視線を王様へと向ける。今から何を俺は言われるのか。未だに全く検討もつかない。それほどまでには彼と俺では立場も違うし接点もない。ただ彼の話を待つだけ。今か今かと相手の様子を伺うが、当の本人である王様は少し気まずそうにしている。・・・一体何だ?

「えーー、単刀直入に言うが、」

「ッ!はい!!」

コホン、と彼はひとつ咳払い。放たれた言葉は、俺が想像も検討もつかないものだった。


「お前に皇女ルシア=アイリスの護衛騎士を任せる。」

「・・・は?」

は?なんつったコイツ。間違えました、この人。


皇女ルシア=アイリスには悪い印象しかない。この屋敷の他の使用人も、ヒソヒソと彼女の陰口を叩いていた。時にはメイドに水を浴びせたとか、時には掃除もできない新人を屋敷から追い出したとか。本当に悪印象だ。良い噂など聞いたことがない。そんな彼女の護衛騎士を俺が?たまったものじゃない!絶対に嫌だ!

「無理です!」

「すでに決まったことだ。」

「ですが・・・!」

「何よりルシアがお前がいいと言っているのだ、頼む。」

「・・・ッ!」

頼む、と頭を下げられた。やめてくれ、俺はそんな立場じゃないんだ。そんなことをされては、さすがに躊躇ってしまう。ここは承諾するべきなのか、または自分の意思を貫いて、拒否するべきなのか!?

(わっかんね〜〜!!!)

アーーーーーッッ!!!


「・・・あなたがルア=アイヴィーね?」

「・・・ハイ。」

結局断れなかった。結果として、目の前には例の”ルシア=アイリス”皇女が。何故こんな事に・・・。俺の安泰した幸せな騎士生活、これにて幕を閉じるのか・・・。そんなことを長々と思っていると、ニヤリと悪巧みでもしてそうな笑みを浮かべて一言、皇女は言ったのだった。

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