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第5話:帝国、動く

「本日は初陣おめでとうございます」

帝国のあちらこちらで初陣を祝う声が聞かれた。


「父上、ご安心を。小国の掃討など、朝飯前にございます」

そんな声が方々から聞こえた。

新調された甲冑。鞭の音。馬の嘶き。

王国を討つは名誉のはじまり。

そう信じて疑わぬ若者たちの瞳は、まっすぐに前だけを見ていた。


騎馬隊には貴族の子弟が配されている。

その半数は経験者で、その半数は初陣であった。


初陣とはいわば縁起物。

このような多勢に無勢の

必ず勝つ戦によく使われる。


王国の命は

彼らの名誉という装飾品でしかないのだ。


帝国の闇賭博では

賭けが始まったいた。

帝国対王国の賭けは、

王国へ賭けるものがおらず。

仕方なく

だれが一番

名誉を得るか?

という一点に集中していた。


帝国は熱狂していた。

これでまた領土が増える。

今度はいい港が取れる。


あの港を取れば

皇帝の彼岸の海外侵略も可能だ。


「行け」


皇帝の一言で


帝国軍1万が進軍を始めた。

騎馬隊 約1,000人

弓兵 約1,500人

歩兵 約6,000人

工兵 約300人

輜重兵 約500人


その行進は見る者を威圧する恐ろし気なものであった。


国民たちは熱狂する。

これで我等の生活はもっとよくなる。

ただそれを信じて…。


多くの者が王国が籠城した所で、1か月は持たないと考えた。

だが慎重な意見も一部で根強く。

一応念のため3か月分の兵糧を持たせての進軍だった。


この戦には、血が流れる予定などなかった。

貴族の子らが初陣を果たし、名をあげる。

兵士たちは消化試合に赴く。

そのはずだった。


「しかし…。よかったのですか?降伏勧告なさらずに…」

そう宰相は皇帝に尋ねた。


皇帝は薄ら笑みをうかべ

「あのような羽虫…。会話なんぞできんわ」


「そうですな。

皇帝閣下がお話するような者ではございませんな。

これは失礼しました」


宰相は深くお辞儀をし

その場を立ち去った。


しかし何故だか…。

宰相は

胸騒ぎを抑えれなかったのだ。

「閣下の言われるように…羽虫

しかしなぜこうまで気になるのか?

あーそうか…。あの国には彼がいたか。

いやしかし…彼はもうこの世にはいない…はず。

これは単なる気の迷いだ」



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