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エンディング:時を超えた魂の響き

(最終ラウンドが終わり、スタジオには一瞬の静寂が訪れる。激しい議論の熱気はゆっくりと冷めていき、どこか名残惜しいような、それでいて不思議な充足感のある空気が漂っている。あすかが、感慨深い表情でゆっくりと口を開く)


あすか:「…さて、皆様、ついにこの時がやってきてしまいました。『歴史バトルロワイヤル〜炎上!英雄たちのスキャンダル大暴露〜』、いかがでしたでしょうか。

最終ラウンドでは、『もし現代に生きていたら?』というテーマで、皆様の驚くべき適応力や、変わらぬ信念、そして現代社会への鋭い洞察に触れることができました。スマートフォンやSNSという新たな『魔法』を前に、それぞれの個性が際立ちましたね。

今宵は『スキャンダル』という、ともすれば扇情的になりがちなテーマを入り口に、時空を超えた議論を戦わせていただきました。

イングランドの絶対王政、フランス革命前夜、ヴィクトリア朝ロンドン、そして帝政ロシア末期…それぞれの時代を背負った皆様の言葉を通して、私たちは、権力とは何か、名声とは何か、愛と憎しみ、真実と嘘、そして、時代の大きな波に翻弄されながらも、懸命に生き抜いた人間の、剥き出しの魂の姿を垣間見たような気がします。

ゴシップとして消費されがちな歴史の裏側には、これほどまでに深く、複雑で、そして人間的なドラマがあったのですね。皆様の魂からの叫びは、現代を生きる私たちにも、『真実を見極める目を持つこと』『他者の痛みに想像力を働かせること』『安易な断罪に加担しないこと』…そして『自分自身の信念を持って生きること』の大切さを、改めて教えてくれたように思います。

ヘンリー8世陛下、マリー・アントワネット様、オスカー・ワイルドさん、グリゴリー・ラスプーチン殿…本日は、時空を超えてこのスタジオにお越しくださり、そして、勇気をもってその胸の内を語ってくださり、本当に、本当にありがとうございました!」


(深く頭を下げる)


あすか:「それでは最後に、ゲストの皆様から、この『歴史バトルロワイヤル』の感想、そして、時を超えてこの番組をご覧になっている皆様へ、メッセージをいただけますでしょうか。まずは、ヘンリー8世陛下、お願いいたします。」


ヘンリー8世:(腕を組み、尊大な態度を崩さずに)「ふん…まあ、退屈はしなかったぞ。少々、耳障りな輩(ワイルドやラスプーチンをちらりと見る)もいたがな。…だが、たまにはこうして、異なる意見をぶつけ合うのも、悪くはなかったかもしれぬ。

後世の者どもよ、よく聞け!歴史とは、勝者が記すものかもしれぬ。だが、その行間には、王の苦悩も、決断の重みも刻まれているのだ。表面的なスキャンダルに惑わされることなく、余が築き上げた偉大なるイングランドの礎を見よ!それこそが、真実の歴史である!」(最後まで威厳を保ち、胸を張る)


あすか:「陛下、力強いお言葉、ありがとうございました。続きまして、マリー・アントワネット様、お願いいたします。」


マリー・アントワネット:(穏やかな、しかし少し寂しげな微笑みを浮かべて)「このような機会を与えていただき、心から感謝申し上げます。長年、誤解されたままだったわたくしの想いを、少しでもお伝えできたのであれば、嬉しく思います。

皆様にお願いしたいことは、ただ一つ…どうか、伝えられる物語や、扇情的な噂だけを鵜呑みにしないでくださいませ。歴史上の人物も、皆様と同じように、喜び、悲しみ、悩み、そして愛した…生身の人間なのです。どうか、その心の声にも、少しだけ耳を傾けていただければ幸いです。そして…願わくば、未来の世が、憎しみではなく、寛容さと優しさに満ちたものでありますように。」(目に涙を浮かべながらも、凛とした口調で語り、丁寧にお辞儀をする)


あすか:「マリー様、胸に響くメッセージ、ありがとうございました。それでは、オスカー・ワイルドさん、お願いします。」


オスカー・ワイルド:(軽やかに立ち上がり、芝居がかった仕草で)「いやはや、実に刺激的で、少々疲れる茶会だったね。尊敬すべき王陛下、悲劇の王妃様、そして…実に興味深い怪僧殿と、こうして一堂に会する機会を得たことに感謝しよう。

私が皆さんに言いたいことは、そうだな…ゴシップやスキャンダルを追いかける暇があるなら、どうか、もっと美しいものに目を向けてほしい、ということかな。一編の詩、一枚の絵画、一節の音楽…あるいは、道端に咲く一輪の花でもいい。人生は、醜聞スキャンダルに費やすにはあまりにも短く、そして美しいものなのだから。

そして、覚えておきたまえ。『世間があなたについて何を言おうが、真実でない限り、気にする必要はない。そして、もしそれが真実なら、なおさら気にする必要はない』…なんてね。」(最後に得意の警句を言い放ち、ウィンクして席に戻る)


あすか:「最後までワイルドさんらしい、含蓄のあるお言葉、ありがとうございます。それでは最後に、ラスプーチン殿、お願いいたします。」


ラスプーチン:(ゆっくりと立ち上がり、その鋭い眼光がスタジオ全体を見渡す。静かだが、有無を言わせぬような迫力がある)「…フン。騒がしい座であったな。だが、人間の愚かさも、賢さも、弱さも、強さも、全ては表裏一体よ。

時代は巡り、人は同じような過ちを繰り返す。権力に溺れ、嫉妬に狂い、噂に惑わされ、見たいものだけを見る…。だが、時に、暗闇の中から、思いがけない光が生まれることもある。

未来がどうなるかなど、誰にも分からぬ。お前たちが、この先、賢明な道を歩むのか、それとも再び破滅へと突き進むのか…。それは、お前たち自身が決めることだ。ただ…忘れるな。歴史は、常にお前たちを見ているぞ…。」(謎めいた、予言とも警告ともつかない言葉を残し、深く一礼する)


あすか:「…ゾクッとしました…ラスプーチン殿、重いお言葉、ありがとうございました。」


あすか:(改めてゲスト全員に向き直り、心からの笑顔で)「皆様、本当に、素晴らしい時間をありがとうございました!

歴史の扉は、決して閉ざされてはいません。耳を澄ませば、そこからは、現代を生きる私たちへの様々なメッセージが聞こえてくるはずです。『物語の声を聞く案内人』として、これからも、そんな声に耳を傾け、皆様にお届けしていきたいと思っています。

『歴史バトルロワイヤル』、今宵はこれにて閉幕です。この議論が、皆様にとって、何かを考えるきっかけとなれば幸いです。

それでは皆様、また、時空の狭間でお会いいたしましょう!ごきげんよう!」(手を振り、笑顔で締めくくる)

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