表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/10

オープニング:飛び散る火種

(荘厳かつ少しミステリアスなオープニングテーマ曲が流れる。CGで描かれた歴史上の建造物や肖像画が目まぐるしく移り変わり、最後に番組タイトルロゴ『歴史バトルロワイヤル〜炎上!英雄たちのスキャンダル大暴露〜』が大きく表示される)


(音楽がフェードアウトし、スポットライトがスタジオ中央の司会者席に当たる。そこに立つのは、若く可憐だが、知的で芯の強そうな瞳を持つ女性、あすか。柔らかな笑顔を浮かべている)


あすか:「皆様、こんばんは!時空を超え、歴史の舞台裏へと皆様をご案内する『物語の声を聞く案内人』、あすかです!」

(軽やかにお辞儀をする)


あすか:「さあ、今宵も始まりました『歴史バトルロワイヤル』!この番組は、歴史に名を刻んだ様々な人物をこのスタジオにお招きし、時を超えた熱い議論を戦わせていただく、まさに時空を超えたトーク・バウト!」

(両手を広げ、スタジオを見渡す)


あすか:「…それにしても、すごい顔ぶれが揃うものだから、毎回このスタジオの時空が歪んでいないか、ちょっと心配になっちゃいます。」(こっそり耳打ちするような仕草で、お茶目に笑う)


あすか:「さて、今夜私たちが踏み込む、禁断のテーマは…こちら!」


(背後の大型スクリーンに『スキャンダル』の文字が躍る)


あすか:「『スキャンダル』!…うーん、なんとも刺激的な響きですねぇ。現代でも、有名人の熱愛報道から政治家の汚職疑惑まで、ワイドショーやネットニュースはこの話題で持ちきり。私たちも、ついつい見出しに惹かれてクリックしちゃったり…しませんか?」(視聴者に問いかけるように)


あすか:「でも、そのスキャンダルという言葉の裏には、時に誇張された情報や、悪意ある噂、そして何より、当事者たちの語られざる苦悩や言い分が隠されているのかもしれません。真実と嘘、名誉と不名誉、個人の尊厳と社会の目…様々な要素が複雑に絡み合っています。」(少し真剣な表情になる)


あすか:「そこで今夜は!歴史上、まさに『スキャンダル』の渦中にいらっしゃった、超弩級のゲストの方々をお呼びしました!彼らが何を思い、どう生きたのか…その生の声、聞きたくありませんか!?それでは、ご紹介しましょう!」


(スタジオの照明が少し落ち、一人目のゲスト席にスポットライトが当たる。堂々たる体躯の男が、尊大な態度で座っている)


あすか:「まずはこの御方!愛のため?世継ぎのため?それとも野心のため!?6人もの妻を娶り、ローマ教皇と決別してまで自国の教会を設立!その波乱万丈な治世と結婚遍歴は、まさにイングランドを揺るがす大スキャンダル!テューダー朝の偉大なる王、ヘンリー8世陛下!」(華々しく紹介する)


ヘンリー8世:「ふん…」(鼻を鳴らし、肘掛けに体重を預ける)「『スキャンダル』だと?余が行ったことは全て、このイングランドの未来と、神の栄光のためである。痴れ者が騒ぎ立てる俗事とは次元が違うわ。」(威圧的な視線をあすかに向ける)


あすか:「おっと、いきなりピリッとしますね…!陛下、その自信、さすがでございます!でも、その『痴れ者』たちが歴史を作ってきた部分も…あるかもしれませんよ?」(笑顔でかわしつつ、軽く釘を刺す)


(ヘンリー8世の隣の席に、優雅だがどこか儚げな雰囲気の女性。スポットライトが移る)


あすか:「続きましては、この御方。オーストリアから嫁ぎ、フランスの煌びやかな宮廷で咲き誇った美貌の王妃。しかし革命の嵐の中、『赤字夫人』『オーストリア女』と罵られ、断頭台の露と消えた悲劇のヒロイン…マリー・アントワネット様!」(少し同情的なトーンで紹介)


マリー・アントワネット:「…ご紹介、ありがとうございます。」

(静かに微笑むが、その目には深い憂いの色が浮かんでいる)


マリー・アントワネット:「わたくしに関する多くの噂が、真実とは異なる形で語られていることは…存じております。今宵、少しでもその誤解を解くことができれば、と願っておりますわ。」(隣のヘンリー8世を一瞥し、小さく会釈する)


ヘンリー8世:(マリーを一瞥し、ふんと鼻を鳴らす)「王妃たるもの、民の噂に心を痛めるでない。毅然としておればよいのだ。」


あすか:「(ヘンリー陛下、意外と優しい…?)マリー様、ありがとうございます。その気高いお気持ち、きっと視聴者の皆様にも届くはずです。」


(続いて、知的な雰囲気を漂わせる、洒落た身なりの男性にスポットライトが当たる)


あすか:「そして、19世紀末のロンドン社交界と文学界を席巻した、稀代の才人!『芸術のための芸術』を掲げ、ウィットと皮肉に満ちた言葉で人々を魅了。しかし、その栄光は一転、社会の『禁断』に触れたとして裁かれ、全てを失った…天才作家、オスカー・ワイルドさん!」(称賛と悲哀を込めて紹介)


オスカー・ワイルド:(足を組み、指先で顎に触れながら、皮肉っぽい笑みを浮かべる)「ご紹介痛み入るよ、可憐な案内人さん。スキャンダルとは、いわば社会が凡庸な道徳で天才を縛り付けようとする、醜い縄のようなものだ。だが、真の芸術はその縄を容易く断ち切るのさ…たとえ一時的に、泥の中に身を置くことになったとしてもね。」(流し目をあすかに送る)


あすか:「うわぁ、名言製造機…!ワイルドさん、その言葉、痺れます!芸術と社会、そして個人の尊厳…そのあたりも、ぜひ深くお聞きしたいです。」


(最後に、スタジオの隅にある席に座る、異様な存在感を放つ男にスポットライトが当たる。長く伸びた髭、鋭い眼光が印象的だ)


あすか:「そして…今宵、最もミステリアスなゲストかもしれません。シベリアの農民から身を起こし、祈祷と称する不思議な力で皇帝夫妻に取り入り、滅びゆくロマノフ王朝を影で操ったとも噂される…!怪僧か、聖者か?その実像は今なお謎に包まれた男、グリゴリー・ラスプーチン殿!」(少し声を潜め、興味と警戒心をないまぜにして紹介)


ラスプーチン:(ゆっくりと顔を上げ、ギョロリとした目でスタジオ全体を見渡す。低い声で呟く)「…………怪僧、結構。聖者、結構。人はワシに見たいものを見る。ワシはただ、呼ばれるところへ行き、為すべきことを為すだけよ……。」(その視線は、他のゲストたちにも向けられ、一種異様な緊張感が走る)


マリー・アントワネット:(扇子で口元を隠し、少し眉をひそめる)「……。」


オスカー・ワイルド:(興味深そうにラスプーチンを観察している)「ふむ、なかなか面白いキャラクターが登場したものだ。」


ヘンリー8世:(ラスプーチンを睨みつけ)「ふん、魔物か道化か知らぬが、王の前であるぞ。弁えよ。」


あすか:「(わわわ、早くも火花が…!)皆様、ありがとうございます!いやはや、イングランドの絶対王政、フランス革命前夜、ヴィクトリア朝のロンドン、そして帝政ロシア末期…まさに歴史の転換点を生きた、強烈な個性と運命を背負った方々が一堂に会するなんて!私、案内人役を務めさせていただきますが、正直ドキドキが止まりません!」(胸に手を当て、興奮を隠せない様子)


あすか:「さあ、役者は揃いました!これから始まる議論を前に、改めて皆様に伺いましょう。あなたにとって、『スキャンダル』とは、一言で言うと何でしょうか?」


ヘンリー8世:「(即座に)些事!」


マリー・アントワネット:「(少し考えて)…悲しい、誤解。」


オスカー・ワイルド:「(微笑んで)凡人の、退屈しのぎ。」


ラスプーチン:「(目を細め)…力の、源泉。」


あすか:「(おお…!見事にバラバラ!これは面白くなりそうだ!)『些事』、『誤解』、『退屈しのぎ』、そして『力の源泉』…!全く異なる視点からの『スキャンダル』。この言葉を手掛かりに、今宵は歴史の深淵を覗いてみたいと思います!」


あすか:「それでは、準備はよろしいでしょうか?最初のラウンドに参りましょう!テーマは『我がスキャンダル、その真実と、言い分』!まず口火を切っていただくのは…やはりこの方、ヘンリー8世陛下、お願いできますでしょうか!」(ヘンリー8世にマイクを向ける仕草をする)


(ヘンリー8世が尊大に頷き、語り始めようとする。スタジオの期待感が高まる中、オープニングパート終了)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
それぞれのキャラクターの個性が立っていて読み込んでしまいました。 個人的に、マリー・アントワネットの悲劇的な雰囲気がとてもいいなと思いました。 面白かったです!
2025/04/11 19:19 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ