君に会えて良かったよ
嗚呼僕は君に会えてよかったな
君が苦しそうに生きている姿が目に留まった
そんな君の肩を叩いた
振り返るとぎこちなく微笑って涙の跡を隠そうとする君がいた
嗚呼僕は君に会えてよかったな
早く消えるために、長く息を吸う君は生き急ぐようだ
毎日崩れそうな日常を、心を、必死に堪えて僕に笑いかける
嗚呼僕は君に会えて良かったな
自分ばかりが駄目で、僕にまで迷惑をかけてしまうと悲しそうに微笑っていた
ねぇ、お願い
「ねぇ、僕は君に会えて良かったよ」
そう僕は、君に会えて良かったよ
消えてしまいそうな背中
涙をこらえて震える唇
少し苦しそうな鼻声
ねぇ、君に気づけてよかった
君の存在に気がつけて良かった
君が消える前に君に会えて良かったよ
「ねぇ、お願い」
澄んだ夜空の下で君に言わせて
「十分過ぎるくらい君は頑張っているよ」
「お疲れ様、ありがとう」
冷たい君の指先に、僕の指先が触れると君は少し震えた
「君のこと、迷惑だなんて思ったことも、君のせいで迷惑被ったことも一度だってない」
温まれ、温まれと、願いながら
「ただ、この言葉が君に届いてほしいと願う」
ゆっくり手を繋いで、君を引き寄せる
「僕はね、本当に、僕の人生に君が現れてよかったと思ってるよ、」
君にハグをした
君は泣いていた
「僕は、」
君に会えて良かったよ