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第3話 聖女育成学校とイジメの丁稚上げ

 昔アシュリーが聖女育成学校にて取り巻きを連れてローナに嫌がらせをしていた。


バシャン!


「きゃあ!」


「あら、ごめん遊ばせ居たなんて気付かなかったわ。」


「アシュリー様、何故この様なことをするのですか?」


「分かってないね。」


「これだから平民は、一々声にしないと理解出来ないなんてね。」


 ローナにアシュリーはバケツに入った水をかけ、両隣の令嬢二人が見下した言葉を投げかける。


「いいこと? 高々わたくしより聖女としての力が強いだけでカルト様と軽々しく婚約するなんて身の程をわきまえなさい。」


「で、ですがカルト王子様の方から私に」


「煩いわよ!」


「!?」


 アシュリーは手に持っていた雑巾をローナの顔へと投げて、髪の毛を鷲掴みにする。


「痛い! やめてくださいアシュリー様!!」


「何がやめてくださいよ! あんたなんてカルト様に相応しくないんだから早く婚約を取り止めなさいよね? あまりやり過ぎるとわたくしの評判が落ちるから今日はこのくらいにしてあげるわ感謝なさい行くわよアニス、レージュ。」


「はいアシュリー様。」


 アシュリーは取り巻きを連れてその場を後にする、そこへ黒髪のショートボブヘアーの青い目をした女性がローナを心配し語りかける。


「ねえローナさん大丈夫?」


「はい大丈夫ですよサリアさん。」


「酷いことするよね何であんなのが聖女の素質持ってるんだか。」


「そ、それより床綺麗にしないと」


「ローナがする必要ないよ! どう考えても悪いのはアシュリーなんだから!! あたしガツンと言ってくるわ!!」


 サリアはアシュリーを追いかけ追いつくと睨みを効かせ言い放つ。


「ちょっと待ちなさいよ!」


「あら、わたくしに何の用かしら?」


「床汚したなら拭きなさい、それからローナに謝りなさいよ!」


「あらあら、わたくしが公爵令嬢ということをお忘れでなくって?」


「そんなの知るか! あんたみたいのはこの聖女育成学校に相応しくないわ、直ぐにでも止めることね!」


「なっ! なんて事を!!」


「そうよ取り消しなさい! アシュリー様は前代未聞の聖女数値80を叩き出した程の実力を備えているのに!!」


「ぷっ、あはははは! 止しなさいアニス、レージュ、所詮聖女数値たったの40しかない雑魚の戯言に反応する程わたくしは下を見ていませんから♪」


 アシュリーは心底馬鹿にした表情でサリアを見下し嘲笑う。


「それは事実ね、でもその後あんたローナに聖女数値200なんて叩き出されたクソ雑魚じゃない? 隣の二人も50程しかない癖に金魚の糞みたいに立場が上の人を持ち上げるしか脳が無いのかしら?」


「なんですって!? 良い度胸してますわね、わたくしを怒らせたらどうなるか身を持って味わうと良いわ楽しみになさい。」


「アシュリー様だけでなく私達まで侮辱したこと後悔させるわ。」


「酷い目に合いたくなければ直ぐにでも退学になる事をすすめるわね。」


 この日を境にサリアへ対する陰湿なイジメが発生し、その状況を見る度にローナは心配をしていた。


「靴の中に生ゴミ入ってるな、どうせやったのはアシュリー達だろうけど。」


「サリアさん大丈夫ですか? 私に関わったばかりにこんな……。」


「気にしないで、アシュリーはカルト王子様に一目惚れされて婚約したローナに嫉妬してるだけなんだから。 それに貴方はアシュリーには無い優しさが有るわ。」


「でも、こんなの酷すぎます! 私ちゃんとアシュリー様と話し合って。」


「あたしの事はいいからローナは立派な聖女になれる様に勉強しなさい、その間はあたしがアシュリーの目を引いておくから。」


「サリアさん……。」


 アシュリー達による陰湿なイジメは日に日にエスカレートしていくがサリアはローナの身を暗示、卒業まで耐えきり聖女を決める発表がなされた。


「聖女としての務めをこの学校にて学び理解出来たと思う、では聖女に相応しいの者の名を挙げる。」


 厳つい表情の白髪で黄色い目をした黒い肌でふくよかな体型をしたシスター服の女性が今まさに聖女を決めようと言葉を紡ごうとしている。


(ふふ、あんな平民共が聖女になんてなれるわけがありませんわそれにもしアニスとレージュが選ばれた際には辞退してもらいわたくしに譲る様に仕向けてるから何が起ころうとわたくしが聖女になる事は確定してますわ! 更に更にアニスとレージュには他にも頼んでローナとサリアに生ゴミをかけてもらって本来ならば整った服装や清潔感の有る状態で臨まなければならない儀式に最悪な恰好で来てもらう事で絶対に平民が選ばれない完璧っぷり、流石わたくし公爵令嬢な上に天才で秀才とくればこの国は安泰ですわね。)


「ローナ震えてるの?」


「うん、だってサリアさんがこんな目に合ってるのに私だけ勉強に励むなんて出来ないもの。」


「手握ってあげるから落ちたら二人で何か一緒に仕事探そっか。」


「うん……。」


「そこ、喋らない。」


「はい! すみません!!」


「こほん、この中で聖女に相応しいのは……」


(ぷっ、わたくしが手を回さなくとも墓穴を掘ってくれましたわ! これでわたくしが聖女として確定……)


「ローナ・ハミルトン! そしてサリア・クィンテット二人共前へ!!」


「「「は? はあああああ!?」」」


 なんと名前を呼ばれたのはローナとサリアの二人で聖女が二人も出るという前代未聞の状況となり、シスターはアシュリー達に厳しい目を向ける。


「ラギナ先生? 本当に私達が聖女で宜しいのですか?」


「そうですよ! 聖女が二人も出るなんておかしくないですか? ローナはともかくあたしは聖女数値たったの40ですよ!?」


「むきいいいい、そうですわ! 納得いきませんわ!! 何故聖女数値80のわたくしでなくてこんな40しかない平民風情が聖女になってますの!?」


「そうよそうよ!」


「アシュリー様は公爵令嬢なのよ! 平民に劣るなんておかしいじゃない!!」


 口答えする三人にシスターラギナは厳つい顔を更に顰め鬼の様な表情になると机をダァンッ!!と力任せに叩き割り一喝し説教をする。


「黙れゲロ豚カス令嬢共! このオレがテメーらクソガキ共の行動を知らないとでも思っていたのか? 立場上ここではオレの方が上なんだよ、ろくに勉強もしねえでローナ、サリアに陰湿なイジメを繰り返して来た奴等を聖女にするわけねーだろ!! そんなに聖女になりたきゃその汚れきった内面を宝石の如く綺麗に磨き上げて来ることだね!!」


 アシュリー達はシスターラギナの迫力に圧倒され何も言えず、翌年再びアシュリーは聖女育成学校にて再度挑戦し猫を被りようやく合格し、その後有るはずの無いローナからのイジメを丁稚でっち上げカルト王子に偽物の証拠を掴ませ現在に至る。

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