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第1話 身体を乗っ取り転生

(ああ、俺は死ぬのか……キノコを生で食べて死ぬなんてとんだ笑い者だな……だが本望だ。)


 キノコを生食し食中毒で苦しみ喘いだ末に息を引き取った俺の名前は茸素たけもとたける、どっち道サービス残業ばかりでいつ過労死してもおかしくない状態だったしあの会社の功績は全て俺が居たおかげだった事を思い知るだろうが知った事ではない。


 なんか目の前が暗くなって行く、これが死ぬってことか生まれ変われたなら異世界に転生したいな。

 だってさ異世界だったらコオロギを加工した食品なんて出回らないし必要の無い税金を払う必要なんて無いからな。


 ああ神様どうせなら貧困な家庭じゃなくて大富豪の資産家の元に生まれ変われさせてくださいお願いします何でもしますから。


 意識が無くなり暫くし眼を開けると大理石の天井が見え、ふかふかのベッドから下りて自分の身体を見ると何やら女性物のパジャマを着ていた。


「な、何だ? まさか俺、女になってる!?」


 近くには姿見があり全身を見てみるとウェーヴの金髪で吊り目の青眼をした胸部の大きいスタイル抜群の美女が写っていた。


「ななな、何じゃあこりゃあ!?」

(何で俺女になってんだ?)


《きゃあああああ! なんですの貴方!? わたくしの身体を返しなさい!!》


「だ、誰だ!? 誰も居ない?」


 声が聴こえ咄嗟に振り向くも誰の姿も無く気の所為かと思ったが再び脳内に声が響く。


《わたくしの身体を奪うなんて良い度胸してますわね、まさかこのわたくしが公爵令嬢アシュリー・ブランディッシュと知っての行いかしら?》


「アシュリーって言うのか、どっかのプチゲームの詰め合わせに出てくるキャラと同じ名前だな。」


《何の話しですの!? 早く身体を返しなさい、さもないとお父様に頼んで死罪に処しますわよ!!》


 その時、部屋のドアをノックする音が聴こえ中に執事だろうか目付きの悪い老人が入って来た。


「お嬢様、何やら騒がしいですがどうなされました?」


《アゼル丁度良いタイミングですわ! こいつをわたくしから追い出しなさい!!》


「アゼル?」


《何をしてますの! わたくしの声が聴こえないの!? 首にするわよこの無能!!》


「はい、アゼルです……本日はどうされました?」


「ええと……」

(やべえ、全然状況が理解出来ないけど何か聴かないと。)


「ふむ、先日カルト王子から求婚されて浮かれているのは分かりますが本当に行うおつもりですか?」


「行うって?」


《何勝手にわたくし無しで話し進めてるのよ! 今日はあの薄汚い平民の女を国から追い出す準備出来たってのに!!》


「平民の女……て誰だ?」


「お嬢様、ローナ・スラングのことをお忘れになりたいのは分かります。 ですが何も国外追放までしなくとも宜しいのでは?」


「分かった、じゃあ止める。」


「はぁ……お嬢様は一度決めたことは絶対に曲げな…………なんですと!? 今なんと!!」


「国外追放は止めると言ったんだけど?」


《な、なんですって!? あのアバズレを国に置いとくつもり!! わたくしの作戦が台無しになるじゃないの取り消しなさいこの悪魔!!》


「おお、お嬢様が人の道を外れることをお止めになられて私は嬉しく思いますぞ!」


 アゼルは急に何出したかと思うと御辞儀をし部屋を後にすると父親と母親に対して報告しに行った。


《アゼル待ちなさい! わたくしの声が聴こえないの!! あの役立たず!! けど覚悟なさいよ、お父様とお母様ならわたくしの身体が乗っ取られていることに直ぐ気付くんだから出て行くなら今の内よ?》


「そう言われてもな、どうやって身体から出るか分からないしな。」


《ふん、これから起きる地獄を味わいたいって事ね? 良いわ、好きにしたら?》


 そしてブランディッシュ家の父親と母親に呼ばれ机を囲み話し合いが始まる。


「アシュリーよ、私は嬉しいぞカルト王子との婚約で晴れてブランディッシュ家も王族の一員だ。」


「そうね、これから忙しくなるわ今日はおめかしして恥ずかしく無い服を着て行きましょうか。」


《え、嘘でしょ気付いてない?》


「はい、お父様お母様。」


《はい、お父様お母様……じゃないわよ! え、やだ、わたくしずっと意識有るまま身体を乗っ取られたまま? いやああああ!! そんなのいやああああああああ!!》


「うるさいなあ。」


「アシュリーどうかしたのか?」


「いいえ、何でもないです。」


《何でも有るでしょ!》


「そうだわアシュリー、服はお母さんが選んでてあげるからお風呂入ってなさい。」


《お母様? 今なんて?》


「お風呂場は何処だっけ?」


「緊張で部屋が分からなくなられていますね、どうぞお嬢様こちらです。」


《ちょっ! あんた嘘よね? 服脱いだらぶっ殺すわよ!!》


 執事に着いて行くと脱衣所に着きアゼルは一礼すると離れて行く、ドアを閉めて服を脱ぎ籠の中へと入れる。


「うわデッカ! でかすぎて爪先が見えないの本当なんだな。」


《見るな! 触るな! 揉むな変態!! わたくしの身体を弄びやがって、殺す……殺してやる!!》


「これが異世界の風呂場か、シャワーヘッドも有るし現代とあまり変わらないんだな。」


 ボディソープを手に取り入念に身体を洗い始めると同時にアシュリーの奇声が響き渡る。


《いやああああああああああああああああ!!》


 身体と髪の毛を洗いバスタオルで水滴を拭いていると脱衣所に母親が現れ綺羅びやかなドレスを見せてくる。


「アシュリー、どう? 今までで一番の出来よ? これならカルト王子様の隣に居ても相応しく見えるわ。」


「派手すぎるような。」


《全然派手じゃないわよ、お母様有難う! わたくしの為にこんな立派なドレスを……じゃないわ! よく考えたら着るのこいつじゃない!! 出てけ今直ぐ着れないじゃない!!》


「これ、どうやって着るんだ?」


《着ようとすんな! わたくしのドレスなんだから!!》


「ふふ、仕方ないわね着させてあげるわ。」


 母親に下着を着けさせてもらい、その上ドレスを着させてもらった。


「あら似合うわ、会場の皆に注目されるかも。 パーティーは夕方からだから忘れない様にね?」


《くぎゅうううう、何でこんな大事な日に限ってこんな目に遭わなきゃならないのよ! もう最悪!!》


 そんなこんなで夕方パーティー会場へと向かう馬車に乗り、暫く揺られていた。

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