step3 いわゆる再会の運命
どんどんと運び込まれていく荷物。
下階では、がやがやと聞こえる笑い声アーンド話し声。
そしてわたしは引きこもり。
部屋の隅にあるべッドの上で、きちんと体操座りしてます。
夜だってのに、部屋の電気は消したまんま。
おかげで自分の手すら見えないくらい真っ暗。
もう、絶対絶対部屋から出ないもんねっ!
あんの最低最悪男が!
ここから出て行くまではぁっ!!!
事の起こりは、今日の夕方。
そう、あの綾ちゃんがここ立花家に着いたその瞬間に、わたしの悪夢は始まった。
「でねっ!その失礼男がぁ・・・ぶっ」
「唾が飛ぶから落ち着け」
感情ばっちしに、今朝の忌まわしきあの事件について語るわたしの口を、朔が雑誌で叩いた。
ひ、ひどい・・・。
「ていうか、その話もう十回目なんだけど。耳たこ」
「うう・・・。いいじゃないのよぉ」
「でもさ、確かに言葉は悪いけど、早桜のこと一応助けてくれたんだろ?」
雑誌に再び視線を向けながら、朔が言った。
・・・っ。
「ひどぉい!朔はあの馬鹿男の肩を持つのね!?」
思わずぶんむくれてわたしは叫んだ。
勢いに任せて、ぽかぽかと朔の頭を叩く。
ちなみに、二割勢い、八割いつものお返し。
「いて、いてて。そうじゃなくてさ・・・」
まだ何か言おうとする朔の背中を思いっきり蹴って、わたしは母さん譲りの奇声を上げる。
きぃ、ってね。
「だーからぁ、そう思った方が気が晴れるだろ?ってこと。いつまでもそんな一回しか会わないような奴のことでかっかすんのは、馬鹿らしいだろ?」
背中を押さえながら、人差し指を立てて朔。
眉を歪めながらも、にぃっと笑っちゃって。
嘲笑とか、嫌味とかのない、正真正銘の笑顔に、言葉が詰まってしまう。
そんな台詞聞いた後じゃ、これ以上文句言えないじゃないの。
よっこらせ、と立ち上がりながら朔は付け加えた。
「それに、そんなぶす顔で愛しの綾ちゃんに初対面するつもりかよ?」
はっ。
そうだった。
今日は綾ちゃんが来る日じゃない!
いっけない!
確かに、こんな顔じゃ合えないよね!
慌てて眉間の皺を指で伸ばす。
型がつかないかと一瞬不安になったけど、そこは若さでカバー。
鏡を見ながら、栗色の髪を手櫛で整える。
この特に癖のない、悪く言えばすっとんとんの、よく言えばストレートの髪は父さん譲り。
ちなみに髪色も父さん譲りだから、染めたわけじゃないのよ?
朔は母さん譲りの黒髪だから、姉弟に見られないこともたまにある。
ま、どうでもいいけどね。
「百八~!百九~!百十一~!」
遠くから、母さんの勇ましい声が聞こえてきた。
スクワットをやってるみたい。
・・・綾ちゃんをヤル気まんまんのようで、なんだか目が怖い。
母さんが百二十までカウントしたところで、唐突にベル音がした。
そう、聞きなれたアナログちっくなその音は。
来客を知らせる合図!!!
「来たんじゃねぇの?」
ぼそりと、朔。
「言われなくても分かってるぅ~」
明るく返すと、わたしはもう一度鏡を覗き込んで、にっこりスマイルの練習。
こういうのは最初が肝心だからねっ。
「はいはいはい。今でまぁ~す」
とびっきりのお愛想声で玄関に向かって叫ぶ。
ウチのドアは思いっきり昔風。
内装も外装も普通なくせに、ドアだけ昔風。
だから、覗き穴もなくって。
つまり開けてみるまで、誰が来たのか分からなくって・・・。
ガチャリ。
昭和の音がして、ドアが軋みながら、ゆっくりと開かれた。
そこにいたのは・・・。
黒髪ロングの美少女、ではなく・・・。
・・・黒髪ショートの美少年!!??
それは、無意識の行動だった。
開かれたドアをわたしは、普段の瞬発力では有り得ない素早さで叩き閉め、一度深呼吸をして・・・。
「きゃあああああっ!!!???」
・・・叫んだ。
だって、そこにいたのは、あの最低最悪男。
世の中そんなに甘くない。
世界は狭い。
そんな二つの名言が、頭の中をサイレン音と共にくるくる回る。
いや、そんなの有り得ない!
母さんが驚いて駆けてくるまで、わたしがドアを開けることは無かった・・・。
こんにちは。
ていうか、ちょっと前に更新したばかりなのに・・・。
すらすら書けちゃいます!
こういう時が一番楽しいですよね。
ですからして、またかなんて呆れないで、暖かい目で見守ってやってください。
ここらで作品について語っちゃったりして。
はい、ありがちですね。
見たことありますよね、この展開。
わたしもあります。
でも、なるべく皆様をおおっとか言わせたりなんかしたいので、頑張りますよ~。
こんな風にしてほしい。
とか。
こんなキャラを出してほしい。
とか。
一番ほしいのは感想なんですけど、もしもそんな意見がありましたら、ぜひぜひお待ちしております!
それでは、しばしのお別れです。
瑞夏