第7話〜ミケの真実〜
俺とミケは寮の中にある自分たちの部屋に入る。
その部屋にはベットが二つと机が二つという簡素なものだった。
「ミケ、この部屋なんかしょぼ過ぎない」
「そうね、でも部屋があるだけまだましでしょ」
ミケが俺に悪だくみをするような顔を向ける。
「ケイン、もう泣き止んだのねw」
「うるせえ。もうこの件で俺をいじらないでくれ。恥ずかしいから」
「わかったわよ。」
俺はふと疑問に思ったことがある。
それは俺がこの世界でなすべきことは何なのかということだ。
「ミケ、俺ってこの世界で何をすればいいの」
「ああああ!そういえば言ってなかったね。じゃあ教えるね」
俺は人生を決めるような話に思わず固唾を飲み込む。
「ケインのやることはたった一つ。魔王を倒すことです。」
「ですよね」
俺に魔王を倒すことは本当にできるのか。
さっき刺されて危うくリンチされそうになった俺が。
「ミケ、本当にできるのそんなこと」
「今は無理でも何とかなる。仲間とか集めればいけるしょ」
「俺、赤組なんだけど」
強気に話していたミケが話を止めて俯いて俺から目をそらせる。
おいおい、諦めないでください。どうにかしてください。
「思ったんだけど、ミケが魔王を倒せばいいんじゃね」
「それは無理なの!」
「なんで?」
「……」
なぜか答えようとしない。これは何か秘密があるのか。
聞かないわけにはいかないよな。
「教えてよ。じゃなきゃ……」
思いつかない。考えろ俺。ミケが嫌がることを。
魔法を使って動けなくして何かするか。
いや、ミケは『ブレイク・スペル』が使えるからだめだ。
どうしよ。
俺が悩んでいるとミケが口を開いた。
「私は魔王によって作られた精霊だから攻撃が通らない」
「え?今なんて言った」
「だから、私は魔王が作った精霊なの」
「はあ!何で魔王が作った精霊がここにいるの。何で魔王を倒そうとしてるの」
「分からない。でもなせか魔王以外の魔力が流れててるから、そのせいだね」
「突然、俺を殺したりはしないよね」
「当たり前だよ。本当にその気ならケインはもうこの世にいないけどね」
ミケが笑って話す。
この子怖いんですけど。まあでも、このことを知ったからって
ミケがミケでなくなるわけでないからいいか。
「ケイン、だから君が魔王を倒すしかないんだ。分かった?」
「分かったよ。ミケが何であろうと君を拒絶したりしないよ」
ミケは俺の手を握ってくる。
やわらかいな。だめだ、落ち着け。俺は紳士だ。
「ケイン、ありがとう」
俺の頭の中から実況が聞こえてくる。
今自分の心の中からゴングの鐘が鳴り響く。KO
これはとてつもない一撃だ。
「ケイン、もう一個言わなきゃいけないことがあるの」
この言葉が俺を現実に引き戻した。