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Count 6.1 Hello! in the next world.(巫子芝安里)

 夏休み。円東寺クンが行方不明になった。心当たりは……ある。うん。


 1学期の終わり、ボクは空手の大会に出た。

「行けたら行くよ」円東寺クンはそう言ってくれたけど、その日は結局会えなかった(・・・・・・)

 会えなかったっていうのは、円東寺クンがホントは会場にきてたことが後で分かったから。「思い詰めた様子で帰って行ったらしいぞ、こじらせ魔王」って弟の篤俊あっクンに言われたから、とりあえず一発殴っておいた。未来の義兄に何てこと言うのよ!


 ……何があったんだろう? ボク、何かやらかしちゃったのかな?

「姉ちゃんは恋愛メンタルが『りぼん』なんだから、そんなの気にするだけ無駄無駄」

 そう言ってあっクンはまたバカにしてくるけど、ホント失礼しちゃうわ! 何よ! たまに『別マ』だって読んでるわよ!


 保護者代理の芹沢ハカセを追いかけて、ボクも円東寺クンのアパートに行ってみた。

 8畳ひと間の部屋は最低限の家具だけで、何もないと言っていいくらいの殺風景な部屋だった。

 それなのに据え付けのキッチンには外国のスパイスが並んでいる。ボクもばあちゃんのところでしか見たことがないようなよく分からない文字が瓶に書いてある。

 そしてパスタ麺。円東寺クンの好物はジェノベーゼソースのパスタだったことを思い出す。そのソースに使われてたのがこれだったんだね。いつも食べてるからそんなに好きなの? って訊いたら「これが一番効率がいいだけだ」とかごまかしてたけど……うん、思い出すと涙が出ちゃう。


 芹沢ハカセが押入れを開けると、そこには下の段に寝袋が置いてあり、上の段には着替えと本、反対側にはパソコンが置いてあった。パソコンの電源は入ったままで、そこにはカクカクした絵の古いゲームが映っていた。側にあったゲームのパッケージには『君が世界征服を諦めるまでボクは殴るのをやめないッ!』ってタイトル、ジャンルはRPGみたい。


「まさか……要は本当に向こうに行ってしまったんじゃあるまいな……」

 そんなコトをハカセがブツブツ言っている。向こうってゲームの世界? さすがにそれは無いんじゃないかな?

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