Count 6 See you in the next world.
始業式の日のことが広まり、オレは巫子芝のお目付役に決定したらしい。
担任の犬飼先生いわく、これまで【三なし】と言われた問題児の首に鈴をつけた人間は初めてだという。察して余りあるが、裏で人身御供とか生贄とか呼んでいるのはどうなんだ? 小さな不幸対象者リストに加えておくからな!
「ほんっっっっとうに感謝してるから! これまで何台うちの自転車を壊されたか」
雉田輪店の雉田美倫には本気でうれし泣きされた。あー、それはご愁傷様でしたとしか言えないな。
「ああ見えてあの子、一途ないい子だから。一生添い遂げてあげて」
猿川マヤには巫子芝とおそろいの護符を渡された。イヤ重すぎるわ! それは手順をふんで作られた錫と鉛の合金製だからというだけじゃない。かすかだが魔力がこもっている。別の意味でも重い。
「円東寺ぁ、巫子芝何とかしてくれよ。おまえ保護者だろ」
迷惑をかけられたクラスメイトがその度にオレに報告てくる。誰がパパやねんロックンロールショー!
それからも巫子芝はランニング中にすれ違いざま手を振ったり、涼みに来たとか口実にして化学室に遊びに来るようになった。
ぼっちのオレには何気にうれしかったし、次第に巫子芝を意識するようになっていった。
……それでも心の奥底に眠る怨みつらみの残滓は、簡単にオレを解放してはくれない。
オレを好きになってくれる人なんているわけがないだろ? 父親ですら、オレを道具としか見ていなくて、あまつさえ最期は捨てられたのに。母親ですら、多忙を理由にオレの隣に立ってはくれないのに。
……だがしかし、そんなひねくれたオレの心などまるで関係ないと言わんばかりに、巫子芝は平気でオレに声をかけてくる。
彼女を信じたい。信じてもいいのか? 試すような事はしたくない。彼女の笑顔を疑いたくない。後悔はしたくない。なら……信じればいい。
だがあの日、オレはそれがただの一人芝居だったと気づかされる。
1学期の終わり。巫子芝が出ている空手の大会に様子を見に行った。そこで見てしまった、彼女の隣に立つ長身の貴公子然とした男。
男と親しげな巫子芝のはにかんだ笑い。いい加減に気づけといわんばかりのその状況に、オレは彼女と顔を会わせる事もなく会場に背を向けたのだった。
じゃあな、巫子芝。また学校で、……いや、この場合はこうだな。
See you in the next world.




