Count 26 吹けよ風、呼べよ嵐(長伝寺達磨)
「なんとなく分かってきたみたい。見ててね、タツコさん、ここからだよ!」
そう言って今度は安里ちゃんが先手を取る。
海竜鬼のキックはもう当たらない。安里ちゃんが間合いの半歩の出し入れで透かしてるんだけど、もう私の『目』でも追いつかないわ。キックがすり抜けてるようにしか見えない。
海竜鬼も小回りの利くパンチに切り替えてくるけど、すでに焼け石に水。彼女はそれすらも【ゆらぎ】を使ったヘッドスリップでかわして海竜鬼に肉迫する。
それを迎え撃つ海竜鬼の右フック、左膝のコンビネーション。安里ちゃんはこれも透かして、左右のボディフックを同時にたたき込む。
続けて彼女は海竜鬼の周りを高速で移動しながらパンチを繰り出していく。
えっ? だけどこれ、どういうことなの? 安里ちゃんが分身してるの? 【ゆらぎ】と動きの緩急のせいで残像が生じてるってことは何となく分かるけど……その時ふいに、頭にアンリミテッドのバトルが再現される。
えっ、だけど【ツインランサー】はゲームだからこそのギミックでしょ? まさか安里ちゃん、恩恵で【きみなぐ!】の必殺技をリアルに再現しようっていうの? まあそりゃあ、武道家なら一度くらい○め○め波を試してみるものだけど……
安里ちゃんが海竜鬼の周りを回るスピードが上がっていく。そして一瞬消えたかと思うと、脇腹へ【トマホーク】、【鉄槌】を! さらには頭に【春雷】、【轟雷】を一斉に食らわす! 決まったわね!
これはもう【ツインランサー】どころじゃないわね。4人の同時攻撃、さしずめ必殺技【クアトロタイフーン】といったところかしら。
しかし『残像分身』って……これはもう、武術というより忍術じゃないの? ニンニン。
だけどこれだったらいけるかもしれないわ! ええ、そうね。たとえ海竜鬼の体力が天竜鬼の5倍だったとしても……そう思いながら身を起こした私の頭に、後ろから銃が突きつけられた。
「おっと、動くなよ。お前の魔装具をこっちに貰おうか」
えっ、誰……って、あなたはキリンくん?




