表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/69

Count 25 スパルタンX(長伝寺達磨)

「ありがとう、タツコさん。あとはボクに任せて!」

 後ろから安里ちゃんに支えられ、そこで私は自分の意識が飛んでいたことに気づく。どうやらここまでのようね。悔しいけど。

 あとは頼んだわよ、安里ちゃん。彼女の肩に手を置いてワタシはその場を離れた。

 動かなくなった天竜鬼の反対側に移動し、回廊の丸柱エンタシスに体を預けて一息つく。

「今度はボクが相手になるよ。海竜鬼、お前の技はもう見切った! ……たぶん?」

 そこは嘘でもキメておきなさいよ(笑)。そして安里ちゃんはいつものサムズアップをしてみせる。ちょっと表情が固いわね。

 でも海竜鬼に「あの世で詫びてこい」っていうのはどうなの。私まだ死んで無いんだけど? それにわざと低い声でいわなくても。眉毛が太いキャラになるわよ?


 選手交代で仕切り直し。海竜鬼が軽くステップを踏むのに対して安里ちゃんはベタ足のまま時折向きを変えるだけ。それでも彼女の本領は踏み込みの早さと目の良さだから問題なし。それはレイピアと日本刀の違いのようなもので、どちらが劣っているというわけじゃ無いから。


 海竜鬼が先に仕掛ける。高速の右ロー! だけど安里ちゃんは左足で上から抑え、反動を利用してそのままハイキックを見舞う。二段蹴りの応用だけど一拍子に見える早技だわ。そこで海竜鬼の刻んでいたリズムが止まる。いい技のキレね。カウンターにはそういう効果がある。実際やるのは難しいけど。


 海竜鬼の繰り出すパンチにも彼女のカウンターが決まる。外側からパンチをかぶせるボクシングのクロスカウンターじゃ無い。リーチの短い安里ちゃんにそれは無理だから。海竜鬼のパンチの内側を擦り上げるようにして軌道をずらし、そのまま踏み込んで真っ直ぐにパンチを食らわす。レールに沿って電車が進路を変えるように。

 剣道で言えば面打ち落とし面。日本刀のしのぎの攻防と同じ、例えれば究極の正拳突きだわ!


 その後も安里ちゃんは要所で切れ味の良いカウンターを見せる。海竜鬼の攻撃をすり抜けるようにかわし、同時に一撃を見舞って動きを断ち切る。その神業を可能にしてるのが、彼女の持つ恩恵シェアのおかげというわけね。

 要くんの異財ギフトは【偏在】と言ったけど、私が『見た』ところ、安里ちゃんの受け取った恩恵シェアは、おそらく【ゆらぎ】のようね。体に纏った【ゆらぎ】が、敵の攻撃を紙一重で躱しあるいはいなし、そこから一撃一閃のカウンターをお見舞いする。そして海竜鬼が反撃しようとしたときにはもうそこにはいない。お手本のようなヒットアンドウェイ、よくこの短時間で【ゆらぎ】を自得したわね。さすがの安里ちゃん!

「まだまだ! こんなもんじゃないよ」

 だけど彼女の進化はまだ途中だったみたい。

 ここからもう一段ギアを上げる? スーパー安里ちゃんAct2ってことかしら?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ