Count 19 それぞれの戦い
「……というわけだから、天竜海竜を倒すっていうのはちょっと無理ね。今のところ」
作戦タイムの終わりにタツコさんの口から出たのは、想像はしていたが悲観的な言葉だった。
だとすれば、五星王の足止めも無駄ということか。本来なら脱出を考えるべきなのだが、転移をはじめ魔法は全てあいつらに無効化されている。勝機の見えない戦いには意味がない。
しかも今度はやり直しのできるゲームじゃない。セ○ゲームだ。当然負ければ死あるのみ。
「でも、望みが無い訳じゃないわ。キリンくんが言ってたでしょ。管理者なら天竜海竜を止められるって。それに管理者なら魔法も使えるんじゃないかしら」
そう言ってましたね、確かに。
アイツもそれを当て込んで呼び出したんだろう。まあ、管理者から外されていたのを知らなかったのは、間抜けとしか言いようがないけどな。
「今はそれに賭けるしか無いわ。要くんにはここで正式な管理者になってもらう。そして加護女ちゃんから承認を得るまで、ワタシと安里ちゃんがその時間を稼ぐ。それでどうかしら?」
それしかないでしょうね。今は信じてやってみるしかない。
それに魔法が使えないままの五星王ではあいつらの相手は厳しいだろう。
巫子芝はどうだ? やれるか?
「うん、何とかやってみる。大丈夫、タツコさんが一緒なら百人力だよッ!」
「そうね。ワタシも安里ちゃんの前で無様な真似はできないからね」
承認の件は……母さんが何とかしてくれるだろう。なんたって伝説の【ウロボロスの烈女】だからな。
「じゃあ行ってくるわね」
タツコさんもドレスからバイオレットピンクのスーツに着替えている。
「円東寺クン、それじゃあ……」
あ、ちょっと待って。オレは2人に声をかける。
そしてタツコさんに、ブレスレット型の魔装具を渡す。魔装具ならあいつらの影響はないはずだ。
「これ、合着の魔装具? ありがとう、要くん。恩に着るわ」
タツコさんはウインクして部屋を出て行く。
そして巫子芝には、リング型の「相結」の魔装具を右手の小指にはめてやる。
「え? これってッ! えええ円東寺クン!」
かかか勘違いするなよ巫子芝! ここれはその調停者がパートナーと体力や異財を共有するための魔装具で今回は緊急事態だからその先渡しというか……巫子芝? えっ? 泣いてる?
「もう! こんなときにサプライズなんてッ! ボク、どんな顔していいか分かんないよ!」
そう言って巫子芝はオレの胸に飛び込んでくる。勢い余ってぶつかった背中が痛い。逆壁ドンかよ。いや、だから説明……って聞いてないか。
まったく、オレだって本当はドキドキなんだぜ、巫子芝……。魔装具だって割り切ってみたけど、意識するなって言う方が無理だ。
ほ、ほらタツコさん待たせちゃダメだろ。後でもう一度、ちゃんとしたのをプレゼントするよ。だから、無事で帰って来いよ。
ああ、嘘じゃない。約束する。




