Count 15 【究極の聖女】アンリミテッド(巫子芝安里)VS【竜星王】タイラント 01
魔星陣をかたどった五角形の武舞台に巫子芝とタイラントが対峙している。5歩の距離を取って開始の合図を待っている。
さっきの作戦のことはもう考えていない。【究極の聖女】となった以上、オレが前に出る必要はないからな。下手に動くとかえって足を引っ張ることになる。だから最初から属性のバフを掛けるよりも、要所でアシストや回復するぐらいでちょうどいい。
雷属性は瞬間的に身体強化を発動させる。その爆発的な加速が一撃離脱の戦法を可能にする。心配はしてねーよ。おもいきりやってこい!
そう巫子芝に声を掛ければ、「にひひっ」といつものサムズアップが返ってくる。『Lady? Fight!』
タイラントの最初の攻撃は中距離でのランダムな属性ブレスだ。何を使うかで次の属性変化が二択に絞られる。今回は水の激流砲だ。通常はこれを距離を取ってかわす。しかし今の巫子芝はその上をいく。
ブレスを沈んで潜り込みながら、間合いを詰めて得意の掌底アッパー【春雷】につなげる。食らいながらも脚を振り上げるタイラント。しかし巫子芝はそれを踏み台にしてとんぼを切った。今の動きどうですか? 解説のタツコさん。
「そうね、幸先のいいすべり出しと言っていいんじゃないかしら。単発だったのは惜しいけど技のキレはいいわね。そうそう、【春雷】の技の名前は冬眠した動物の目を覚ます雷、転じて先手必勝の一撃の意味なのよ」
次にタイラントは地面から尖った岩を剣山のように作り出す。それを巫子芝は跳んでかわすが、続いて撃ちだされた炎の槍は避けられない。それを水の加護で相殺する。加えて槍をかわす回転を利用してバックブローを牽制に放つ。タイラントの追撃を許さない。
白帝山羊のグローブの加護は、巫子芝は右手に水の加護、左手に火の加護を付与している。これで火と水の攻撃は相殺、木の攻撃は火で、金の攻撃は水で半減できる。火と水は雷属性との相性もいい。土属性だけは対応できないが、そこはオレの出番ということになるだろう。そこは頼ってくれ。




