Count 14 【究極の聖女】アンリミテッド 03
「ところで月霊姫はどうしたの? だから私が代わりに来たんだけど」
今は母さんのところに行っています。承認のこともあるので。
「承認? じゃあ要くんも調停者になる気になったのね! パートナーは……分かってるわよ、安里ちゃん。そんなに腕組んで挙手アピールしなくても」
月霊姫は【きみなぐ!】というアトラクションの支配人だけではない。オレの母さん、円東寺加護女の影武者だ。他の五星王と同じ魔動人形なのだが、その魔動電池の魔子は【きみなぐ!】からではなくリンクした母さんから直接供給されている。そして月霊姫には他のゴーレムを自分の分身として操る【月光蛾】のスキルがある。これが【きみなぐ!】をひとりで何役もこなして回していられる理由だ。
そして通常エンディングの敵はタイラントだが、トゥルーエンディングの相手は月霊姫だ。9✕9の魔方陣の武舞台で水金火木土雷のカードを使った神経衰弱バトルになる。それに勝利すると月霊姫は味方となり、プレイヤーと協力して魔王城を破壊するのだ。
ラストは野望の潰えた【魔王】が聖女らの手を取って、もう一度人間としてやり直すことになるというハッピーエンドがトゥルーエンディングのシナリオだ。しかしここまでたどりついたプレイヤーは数人しかいない。まあクソゲーだからな。
「それで安里ちゃん、高校の制服持ってきてあげたから着替えなさい。いくらロングスカートだからって生パンで踵落としとかは駄目よ。ここからは要くんも隣で見てるんだから」
えっ、何でそんな事に? 巫子芝、いつものスパッツはどうした?
「あ〜転移でこっちに来たとき、私服のパーカーにグルカショーツだったから。……で、でもクマちゃんのかわいいパンツだから全然大丈夫だよ!」
オレが大丈夫じゃねーよ! 撲殺じゃなくて敵を悩殺するつもりだったのか?
「の、悩殺って! 確かにボクのキックは百発百中だったけど……えっ、そのせいなの? キャ〜」
オレの首が歯車の音を立ててタイラントを見る。……そうか、お前らの負けっぷりがいいのはそのせいか……おい、何でこっちを見ねーんだよ! 終わったら正座で反省会だからな!
「お待たせ! これでいつでもオッケーだよ」
いつもの制服に着替えた黒髪黒目の巫子芝が戻って来る。ボルドーレッドのブレザーに白のシャツ、濃紺のスカートに同色のスパッツと水色のスニーカー。うん、いつもどおりかわいいな(小声)。そして手には六芒星が輝く白帝山羊のスキングローブ。
ついでにオレも制服に着替えた。ツノなんて飾りだからな。演出とはいえウザかったし。
タツコさんは長机にパイプ椅子をセッティングして座っている。
「だって解説者は必要でしょう? それに同門の愛弟子の大舞台よ。見逃すわけにはいかないわ」
ああ、蘇化子なんですね。分かります。




