Count 11 大魔王、本気出すってよ
とにかくオレは【きみなぐ!】をアンタにあけ渡すつもりはない。とっとと帰れ。何処へ? 知るかよ。
それだけ言ってクソオヤジを放置して魔法塔に向かう。しかしオレの袖を引っ張って巫子芝が向こうを指さす。
「ちょっと円東寺クン、あれ、オジサンが何かブツブツ言ってて怖いんだけど」
言われてそっちを見ると、麒麟人は円柱に手をついて黄昏れていた。
「何だよぅ……全然思ってたのと違うじゃん。もう昔の事だよ? 吾輩の姿を見れば要も親子の情ってやつで感極まってさぁ……水に流そう父さんなんて言い出して、帰還の宴とか開いて、三日三晩盛り上がっちゃってさぁ……」
どこまでも自分に都合のいい頭だな。アンタがオレに何をしたのかもう忘れたのか? それに許すかどうかを決める権利はオレにあるんだが。
オレが返事をしたとでも思ったか、それを聞いたアイツが高速移動してオレたちの前に立つ。
「ならば決まりだな! そうだ、今ここから始めよう。吾輩は復讐するのだ! 強大な【きみなぐ!】の力を手に入れさえすれば、吾輩は世界を三日のうちに、いやもう少しかかるかな? ひと月……いや1年?」
そこは言い切れよ。っていうかまた誇大妄想にとり憑かれてんのか? 今度は誰にいじめられたんだい、の○太くん。
「あんなのと一緒にするな! 誰が○び太だ」
アンタしかいないだろう。さっさと認めたほうが楽になれるぞ。
「親に向かってお前は何様だ! 笑わせるなよ。お前が【魔王】なら吾輩は【大魔王】だ! 頭が高いぞ、ひれ伏すがいい!」
いい加減にその口を閉じろよ。何なら【魔王】の魔法で黙らせてやろうか。消し炭と細切れとどっちがいい?
「減らず口をたたきおって! お前がそうなりたいのか?」
言いながら麒麟人は使い捨ての魔封紙を取り出そうとする。最初から魔法が封じ込められているから、今度は食らうわけにはいかないな。
そのときオレとアイツの間に巫子芝が割って入る。何やってんだ、危ないぞ!
「もうやめて! 円東寺クン、親子ゲンカでもそれは……オジサンも円東寺クンに謝ってよ! ひどいことしたんでしょ?」
「出しゃばるな、小娘! お前から先に片付けられたいのか? 魔法も使えないくせに」
「確かに使えないけどオジサンにそれは無理だと思うよ? 一応聖女だし。それにチワワがクマに勝てるワケないでしょ?」
「チワワ? それは……ひょっとして吾輩のことか!」
「あっ、パグのほうがよかった? クリッとした目がカワイイもんね〜」
「どっちでも同じだ! ……いや同じじゃない! 吾輩はそうじゃない!」
「ボクにしてみれば同じだよ? あ〜でもカワイイぶんパグのほうが上かな?」
「わ、吾輩がペット以下? くっ!」
クックック、結局止めを刺したのは巫子芝の天然砲だったな。
「よし! お前らがその気ならもう手加減はせん! 集え竜人の力! 出でよ竜星王タイラント!」
麒麟人が5つの宝珠をはめ込んだ神像を取り出して高く掲げる。おい! そいつをどこから持って来やがった!
「馬鹿め、【魔王】のために用意されたものならば、吾輩が使えるのも当然だろう? クァーッハハハ!」
天空に水星王、金星王、火星王、木星王、土星王のシルエットが浮かび上がりひとつに重なり合う。
五星王の力を併せ持つ竜星王タイラント。それは【魔王】ユビキタスが最後に戦わせるボスキャラだ。




