表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/69

Count 8 Boy meets girl so unlimited

〈お望みどおり、ボクが自分の足で来てあげたよ。【魔王】ユビキタス〉

〈約束を違えなかったのは褒めてやろう。殺すのが少々惜しくなるな〉

 オレは魔王城の謁見の間で、【魔王】ユビキタスとして【物理の聖女】アンリミテッドと対峙した。ここに来るまでの度重なるバトルで疲れた様子だったが、それを振り払うように中の人、巫子芝は「にひっ」と笑ってみせた。笑顔が眩しすぎるんだよ。飛び散る汗にまでキラキラ補正つけやがって!

〈今ならまだ間に合うよ。そこから降りて神の慈悲を乞い、罪を悔い改めて〉

〈ここに来て言うことはそれだけか? その頭の中はマッシュポテトなのか? ああ筋肉だったか〉

 ゲームのシナリオどおりのセリフの応酬。このあとアンリミテッドの〈掛ける慈悲も情も不要なら、あとはもはや拳で語るのみ!〉というセリフで最終バトルが開始される。


 このあとどうするかは、オレの中ですでに決めていた。【魔王】ユビキタスは憎たらしい挑発をくり返し、アンリミテッドと熱いギリギリのバトルを演じながら負ける。そして〈アンリミテッドが救った世界など吾輩には不要〉と城ごと自爆し、エンディングと共に巫子芝を向こうへ帰してやる。……それでいいんだ。それできれいに全てが終わる。このあとのくだらない老害どもの覇権争いのゴタゴタは彼女に何の関係もない。


 しかしここで巫子芝は自分の言葉でオレに訴える。

「もーっ! またそうやって勝手にひとりで思い込んで……どうしてボクに何も言ってくれないの! 心配したんだからね! 弟が何て言ったかしらないけど、一発殴っておいたから! それでカンベンしてやってよ」

 は? 弟? それは……えっ?

「……一緒に帰ろうよ。円東寺クンのいない世界なんて考えられないよ。気に入らないことがあるなら直すから言って? でも全部は無理かな? ……あ〜何が言いたいか自分でも分かんなくなってきた! と、とにかく! だ、だからもう一度ボクと一緒にやり直してほしいって言いたいの!」

 何だよ、一緒にって。何で泣いて……それじゃあまるでオレが悪いみたいじゃ……えっ?

 ……そうか、オレはやらかしちまったのか。……うん、消そう。この場で今すぐ転げまわりたい恥ずかしさと一緒に全部消してしまおう!


 オレは巫子芝の周囲に、6✕6の太陽の魔方陣を展開する。【きみなぐ!】を崩壊リセットさせるエネルギーから彼女を守る結界だ。

「円東寺クン! こ、これは何?」

 ありがとうな、巫子芝。先に帰って待っていてくれ。後始末をつけたら必ず戻る。約束だ。

「後始末って? 【きみなぐ!】はどうなっちゃうの? ニュイは? 毛竹斎様は?」

 今のままでは危険すぎるから封印するしかない。オレが力をつけるまで、それまでは冬眠ねむってもらう。大丈夫かって? まあたぶん。読んでおいた管理者マニュアルブックによればだが。

「ダメだよそんなの! 死ぬかもしれないじゃない! そんなの絶対ダメっ!」

 言うが早いか巫子芝はいきなり正拳突きを放って結界を打ち砕いてしまった。ちょっ、お前何してくれてんのォォォ!

「だってようやく会えたのに、また向こうで待ってるだけなんて……イヤだよ。そんなのボク絶対にイヤだから!」

 ああもう! そんな顔して抱きつかれたら怒れないだろうが! こらこら、ぐりぐり顔を押し付けたらそんな……うきゅ!


 はぁ……でもどうする気だよ。結界が無いと巫子芝の身が守れないんだが。

「えっ? そ、それは……何か無いの? 二人の……あ、愛のパワーで必殺技リミットブレイク的なやつとか」

 て、照れながら言うんじゃねーよ! こっちまで恥ずかしくなるわ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ