Count 2 円東寺要 VS 不良グループ ←巫子芝乱入
学区外からの転入組であるオレは、入学した恵玄高校で初めて彼女と知り合った。そして巫子芝安里の名前は、その日オレの中に強く刻まれることになる。
巫子芝の何にでも首を突っ込む好奇心旺盛な性格と、派手なだけで何も解決しないありがた迷惑な行動によってだがな!
その日始業式のあとで、オレは早速この学校の不良先輩たちに校舎裏に呼び出された。5人全員が揃いのタイガーアイのリングをはめている。カラーギャングってやつか。まだいるんだな。
理由はいつもの通り、オレの見てくれのせいだ。
アッシュグレーに染めた髪? 紅茶みたいな紅い色のカラコン?
残念、どっちも天然ものだ。色素異常のおまけ付きで良ければよろこんで進呈するよ。
……まあ、こういう奴らは言っても信じない。それもいつもの事だ。とりあえず気の済むようにタイマンで2、3発殴られてやれば満足するだろう。その代わり後で全員に自販機で突き指する呪いを掛けてやるからな!
しかしため息をつきつつそんなことを思ったオレの前を、不良Aが「へぶばっ!」と変な声を出してすっ飛んでいった。
見るとAのいた場所には、かわりに白いモトクロスタイプのチャリが止まっている。それにまたがって「あるぇ?」とか言って首をかしげる制服姿の女の子、それが巫子芝安里だった。
(何だこのムチャクチャな登場のしかたの女は?)という全員の視線が集まるなか、彼女は自転車を降りてあたりを見回した。
「あ~、ありがとう! ボク、急いで来たから勢い付きすぎちゃって。誰か知らないけど、体張って止めてくれてホントにありがとう!」
イヤイヤイヤ! Aにそんな気は1ミリもなかったと思うぞ。
「いい話にしてごまかすな! 止まれない勢いで漕ぐってお前、絶対頭おかしいだろ!」
リーダーの男が以外と冷静なツッコミだ。
「あれれれ~? みんなが仲良くなれる魔法のコトバが効かないよ? 大事なコトなのでもう一回言いますよ? ありがとう!」
「何度言っても同じだ! この天然ボケが!」
「む~、ボクと仲良くしてくれないなんて。あなたは敵ですね?」
そこは何で敵か味方かの2択なんだ?
「そもそもお前には関係ねーだろ! すっこんでろ」
リーダーが巫子芝に凄んでみせる。
「理由ならありますよ? 彼は円東寺要クン、これから仲良くしてくれる予定のボクの大事なお友達です!」
そう言って彼女は小走りに来てオレの隣に立った。
えっ、友達って言った? それは決定事項なのか。予定は未定だよね? しかも今日会ったばかりの陰キャのオレの名前をもう覚えていてくれるなんて……って言うか近い! 近すぎ!
何で上目遣いの熱いまなざしでオレの腕にぎゅっとつかまってるの? あ、当たってるんだけど!