表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/69

Count 6.2 Girls talk with Goddess. ……Goddess?(巫子芝安里)

 パソコンの側には円東寺クンが「栄養補給だ」と言っていつも食べている飴の純露があった。そのひとつを取って何の気なしに口に入れた。その瞬間ボクだけが白い光に包まれる。

「お、おい巫子芝! 何でお前が召喚されてるんだ?」

 ハカセが召喚とか言い出す。じゃあコレって【転移ゲート】の魔法なの? 聞いてないよそんなの! せめてどこに行くのかぐらい教え……え、【きみなぐ!】?


 着いた先は見渡すかぎりの草原と四角い真っ白なテラス、そこに白いテーブルセットが置かれている。

「ようこそ【きみなぐ!】へ! いらっしゃい、飲み物は紅茶でいいかしら?」

 そして白いドレスを着た女神……のおねぇさん?

「ワタシは長伝寺達磨。安里ちゃんとは一度会ってるわよ? あっ、ここではタ・ツ・コって呼んで頂戴ね」

 陽堂先生の身内の人? そう言われればどこかで会った気もする、かな?


 タツコさんは自称【魔女】のおともだち。円東寺クンもよく知ってるんだって。

 ボクはこれまでのコトを、タツコさんに聞かれるままに話した。

「安里ちゃんは要くんの恋人なんでしょ? 何で照れてるの? そんなのまだ早い? ダメよー、ちゃんと言う事言わなきゃ。雰囲気で伝わるなんて思ってたら大間違いよ。うーん、二人とも恋愛メンタルが『小学5年生』ね」

 うくっ、『りぼん』どころか『小学5年生』って言われたよ……ううん! だったらもう直球勝負、ボクの気持ちを思いっきり円東寺クンに伝えるまでのコト!


「要くんにはワタシが会わせてあげるわ。そのつもりで呼んだんだしね。でもあの子、ちょっと面倒なことになってるのよ」

 え? 面倒ってどういうこと?

「まあ、順を追って話すわね。始まりは……」


 タツコさんは円東寺クンのコトを、昔から今まですっかり話してくれた。

 ボクはそれを聞いて泣いてしまった。泣かずにいられなかった。

 そんなのひどすぎるよ! 親子なのにどうして!


 タツコさん、教えて。ボクはどうすれば円東寺クンを助けられるの?

 ……昔のボクは『生きられるだけ生きて、最期は笑って死ねばいい』そう思ってた。そう師匠じっちゃんに教わったから。 


 ……でも今は、何もしないままで死にたくないという気持ちも持っている。だのに毎日何をしたらいいのか分からない。そんなちぐはぐな焦りが苦しい。ずっと生きづらさを感じて過ごしていた。


 ……そしてあの日、ボクは円東寺クンに救われた。『どんなふうに生きてもいいんだ』って、笑いながら円東寺クンはボクにそう言ってくれた。ボクは円東寺クンと出会って初めて、死んだらつまらないって、生きてずっと一緒にいたいって、そう思えたんだ。


 だから待っててね、円東寺クン! 今度はボクがキミを助ける番だよ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ