その十八 タヒンの伝説
メキシコの伝説
タヒンの伝説
次の伝説はベラクルスの近くにあり、古代のトトナカ族の居住地があったタヒンのピラミッドの建造について語っています。
そのピラミッドは雨、雷と稲妻の神に捧げられたピラミッドです。
或る日、七人の神官が雷、水と川の神に捧げる祭壇がある洞窟に集まりました。
基本的な四方を向いて立ち止まり、風の賛歌を歌い、神々に祈願しておりました。
彼らの祈りの言葉は聞き届けられ、空には稲妻が走り、雷鳴が強く轟き、同時に雨が激しく降ってきました。
激しい豪雨が数時間続きました。
何日もの間、暴風雨となりました。
そして、今はパパロアパンとマリポーサスとして知られている川は氾濫し、河岸を水浸しにして道を全て破壊しました。
洞窟の中ではずっと太鼓を叩き、東西南北の神々に対する祈願の言葉が響く中で、雷の音はずっと強く鳴っておりました。
少し後で、おかしな服を着た人物の一団がその場所に着きました。
よそ者と思われましたが、何よりも奇妙だったことは、顔にいつも浮かんでいる微笑でありました。
トルコ石そのものと同じくらいとても青い海を持つ遠く離れた地から来たと云われています。
熱帯のこの海岸に辿り着くまで激しい雨の中、幾多の苦しみを経験し、最終的にここに定住しようと考えていました。
彼らはその地をトトナカンと名付け、彼らの言葉を使って、自分たちをトトナカ族と呼びました。
この部族は偉大な文化を携えており、神官たちを怯えさせました。
このことは、新しく移動してきた新参者を追い払うことを狙って、雷と稲妻を呼び起こすために、神官たちを再び洞窟の中に隠れさせました。
古代の記録では、時代は判りませんが、数日の間激しい雨が降り、それらの暴風雨が洞窟の七人の神官が呼び起こしたことに気付いたと云われております。
トトナカ族は暴力には訴えず、その神官たちを小さな舟に乗せて、水と食糧を与え、永遠に彼らを遠ざけました。
しかし、トトナカ族には問題がありました。
風と雨の激しさが収まらなかったのです。
この災厄を終わらせるためには、雷の神々を支配することが肝心でした。
それで、賢人と神官が集まり、神々に信仰を捧げることに決めたのです。
神殿と洞窟がある場所で雷の神に信仰を捧げ、トトナカ族、即ち微笑する人々は驚くべきタヒン神殿を建てたのです。
タヒンという言葉は、彼らの言葉では「暴風雨の土地」という意味なのです。
現在、その素晴らしい神殿を見ることが出来ます。
雷の神に捧げられて建立されて世界的に知られている、タヒンのピラミッド、又はタヒンの神殿がそれです。
そこでは、おかしなことに、暴風雨、雷、雨はいったん始まると国内で一番強烈だと思われています。
これはスペイン人が来る、ずっと前に起こった事柄です。
- 完 -