グラスホッパーの殺し屋 蝉(ネタバレ注意)
伊坂幸太郎の小説「グラスホッパー」に登場する蝉に関してのまとめ。
この小説は殺し屋による群集劇で、蝉はその主人公の一人。
タイトルで名前を伏せていないのは彼は殺し屋であり、パンドラハーツと違って存在自体がネタバレというわけではないため。
一応主人公ですが、一応悪役なのでまとめました。
蝉
やったこと
本名不詳の殺し屋。
殺し屋であるため、主に依頼による殺人を行っている。
子供や女性でも平気で殺せる精神の持ち主。
上司である岩西がその性格を買ってか、あまり他人が関わりたがらない「一家全員皆殺し」のような依頼を率先してやらせている。
岩西と蝉しかいない弱小企業のため、そういう誰もやりたがらない分野をやる必要があるというのもある。
本人の思想などではなく、単に仕事だから悪事を行うタイプの悪役である。
性格
上司である岩西に「蝉みたいにうるさい」と評されており、割とお喋り。
ちなみにその多くは、岩西や仕事に対する文句となっている。
やったことにあるように、女性子供でも関係なく殺せる精神を持つ人物。
人を殺す時に特に何も考えていないらしく、罪悪感も「悪いな。でも、(死んだ連中以外は)そんなに迷惑じゃないだろ?」ぐらいのものらしい。
彼のもとに来る以来のターゲットが大体禄でもない(ホームレスに火をつけた青年など)なのが、それに拍車をかけている。
ただ罪悪感を感じない理由に関しては、終盤で「岩西の存在があったからでは」と掲示されている。
ちなみにその岩西の事は大嫌いで、彼に対して反抗的な態度をとる。
これに関しては、ガブリエル・カッソの「抑圧」を観たことが影響している部分も大きい。
作中でも書かれてるのでここでも書いてしまうが、映画の主人公の青年は新聞屋で働いていた。
その上司である新聞屋の店主の態度は非常に悪く、青年をこき使っていた。
我慢の限界に達した青年は店主を殺そうとするが、すると店主は「お前は俺の人形だ」と青年に言う。
やがて青年の体には自分を操る糸が見え、青年はそれを切ろうとするが精神病院送りにされてしまう。
「人形でいいので自由にしてください」という青年に対し、新聞屋は病院の外で「俺はこんなに自由だってのに」という。
蝉は自分と青年を重ね、同時に新聞屋と岩西を重ねてしまう。
岩西の操り人形ではないと証明したい故か、岩西に対してかなり反抗的な態度をとっている。
ちなみに実際の岩西は、新聞屋と違い蝉を操り人形とは思っていない。
蝉に対してエラそうな態度をとってはいたが、実際はかなり蝉を評価し期待しており、この二人は見事にすれ違ってしまっていたことになる。
ちなみに、好きなのはシジミの砂抜きを見ること。
しじみから空気の泡が出ているのを見て、「いいなぁ。生きてる感じがして」と思い癒されている。
「人間が居てよかったなんて人間しか思わないんだから、しじみの方が偉いんだぜ」(要約)と言う辺り、よっぽどしじみ好きなようである。
強さ
裏社会の人間を二人同時に相手をしていることから、結構強いように思われる。
(相手の二人が弱かった可能性も捨てきれないが)
ただ、目を見た相手を自殺させるという超能力じみた相手や、銃などには弱いようだ。
武器はナイフ。