パンドラハーツの悪役 その2(超ネタバレ注意!)
Gファンタジーで望月淳先生により連載されていた漫画『パンドラハーツ』に登場するある悪役に対してのまとめその2。
ここから先はかなり重大なネタバレとなっています。
今回は、前回触れた真の首謀者についてです。
名前自体がネタバレです。
ジャック・ベザリウス
やったこと
サブリエという町が、アヴィスという異世界に落ちた事件を解決した英雄。
親友だったオズワルド・バスカヴィル(パンドラハーツその1参照)を殺害する形で、彼を止めた。
以下本格的なネタバレ
オズワルドの項目でも書いてある通り、真の首謀者はこいつである。
元々は貴族の妾の子で、父親に母子共に捨てられ母親は死亡、路上生活をする羽目になった。
何もかも失い、自分達を見捨てた世界を憎む事すらしなくなり、自身の生死もどうでもよくなっていた。
そんな時にレイシー(オズワルドの妹。ジャックの想い人)に出会い、生きる希望を与えられる。
ジャックは再び彼女に出会うために、あらゆる手段を用いて貴族にまでのし上がった。
(恐らくこの時点でかなり黒い事をしていると思われる)
そんな中でレイシーやオズワルドと親しくなるが、レイシーはアヴィスで死んでしまう。
そこで彼は、「アヴィスで死んだレイシーの為に、彼女の愛した世界をアヴィスに落とす」ために行動し始める。
そのためオズワルドの目的は、そのレイシーをジャックと出会うはるか昔の時点で殺す事となる。
レイシーがオズワルドに狙われるのにはまた別の理由があるので、それはまた次回。
首謀者であるせいか、かなりの悪行を働いていて、
・世界をアヴィスに落とすために、当時仲の良かった子供(メインキャラクターの一人)を騙して利用する。
・自分を止めようとしたオズワルドを殺害。
・オズワルドとは別の友人に、「自分がオズワルドを止めて世界を救った英雄である」という偽りの事実を後世に伝える為の書物を書かせる。
(この書物を書いた人物に事実を知っており、書物には暗号で真実が書かれている)
等々ある。
主人公の体の中にその魂があり、度々本編中でも登場するが、その際は英雄のように振る舞っている。
また、オズワルドの元従者に対しては「自分が元主人」のように振る舞っている。
(この元従者は記憶喪失であり、真実を知っているが思い出せない状態だった)
本編の登場人物の多くが彼の被害者。
終盤では主人公の体を乗っ取って行動する。
自分の為に行動し、目的のためなら何でもするタイプの悪役である。
性格
表面上は笑顔で気さくで社交的ないい人。
絵に描いたような善人で、逆にそれが胡散臭かった(私の主観)が、時折挟まれる回想により騙された読者も多かったのではないだろうか。
時折挟まれる彼とオズワルド達の回想、絵はオズワルドなのにモノローグはジャック視点なのである。
つまり本来ジャックのモノローグが、オズワルドのモノローグのようにミスリードされているのだ。
何をしてもレイシーを取り戻したい(要約)なモノローグが入るため、オズワルド犯人だと騙されるわけである。
登場人物の一部の人間には「波のない水面(鏡)のような人」と評され、ジャックの本質を覗こうとするとそこに写るのは自分自身になってしまう。
これは元々そうであったというよりは、レイシーに会う為にはのし上がらなければならず、その為に長らく自分を偽ってきた弊害であろう。
相手の望む人間を演じることができ、自分の為なら平気で周囲を利用し傷つける事ができる。
ちなみに本人も自分の感情についてはよく分かっておらず、オズワルドが消えた際に泣いているのを指摘されると「ただ涙が流れるだけだよ」と答えている。
レイシーの為に世界をアヴィスに落とすと言う傍ら、その本心は「ただ自分が生きていたい(生きる理由が欲しい)」である。
レイシー曰く「自分も他人も誰も愛していない」とされているので、やはり自分の為に動いていたのかもしれない。
ただ一切情がないという訳ではなく、自分の鏡のような本質を指摘されると憤ったり、オズワルドを殺した際に動揺したり、レイシーが消えた際には一カ月間も廃人状態だったりしている。
裏切ったとはいえ、オズワルドとの友情、レイシーへの愛情は本物だったのだろう。
作者曰く、「自分の事を自分で分かっていないので、描きにくい。表情チョイスも難しい」らしい。
強さ
正直よく分からないが、恐らくそんなに強くない。
ただし彼が主人公の体の中に居るため、オズワルドのように「主人公ごと消そう」とする人間でなければ倒すのは難しい。
また、彼の所有するチェイン(その1参照。まぁ、スタンド能力みたいなものである)が攻撃特化の強力なものであるため、その力を行使すればいい線行くかもしれない。