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そこを一気に叩けばいい

 スウェアの町から最も近いカサードの町は、スウェアの町から歩いて三日の距離にある。


 スウェアの町と同様、流通も盛んでなければ特産品もない町ではあるが、スウェアの町と違ってゴブリンによる大きな被害は出ていないので、資金さえあれば食料品を買い込むのはそう難しくない。


 ウィル、セラ、ユリィ、リタに守られ、荷馬車を走らせ、カサードの町に買い出しに向かうサリアの懐、その財布は重すぎるまでに詰まっている。


 無論、サリアの懐を重くしているのは当人の金ではない。買い出しのための出資に応じた人たちの金である。


 冒険者ギルドを利用したせいか、サリアの元には買い出しを頼む人たちであふれた。あまりに申し出が多かったため、借用している荷馬車の積載量を考え、何人かは断らねばならなかったほどだ。


 集まった出資金の一部は、護衛の報酬や運搬料金としてウィルたちの懐に残る。それだけでけっこうな収入となるが、うまくいっているのはそれだけではなく、


「……距離を置いてはいるが、スウェアの町を出てから、ずっとついて来る気配がある。五人くらいだろう」


 小さいがハッキリとした声でユリィが四人に警戒を促す。


 ベルリナのおかげで、スウェアの町を出ることはゴバイルに伝わっているはずだ。ゴバイルが人を雇って危害を加えてくることは想定内。だから、あらかじめこういう事態が訪れても後ろを気にしないように言ってあるので、セラやサリアも硬い表情になりながらも、後ろを向かぬように努めている。


「往路で襲おうってところから、大した相手じゃないな」


 ウィルの言葉にユリィとリタはうなずくが、


「帰り道は荷馬車が買い込んだ食料品で、足が鈍くなっている。そこを狙う知恵もない相手ということだ」


 わかっていないセラやサリアに説明するウィル。


「で、どうするの?」


「たぶん、こちらが人気のない所に行けば、考えなしに襲いかかって来るだろう。この際、早々にケリをつけるべきだな」


 追跡者に対するリアクションをリタに問われ、ウィルは自分の考えを述べる。


「私も賛成だ。少し先に森が見える。休憩を装い、そこに誘い込めば、手を出して来るだろう。そこを一気に叩けばいい」


 ユリィも積極策に同調し、セラ、リタ、サリアも異を唱えないと、五人の方針は定まった。


 同時に、背後から迫る五人の末路もこれで定まった。


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