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基本的なとこから説明してくれないか?

「急な話で申し訳ありませんが、明後日には私は我が神と共に神々の大戦に赴かねばなりません。此度の神々の大戦は先の大戦より少し長くかかりますが、それでも三日ほどで終わる予定です。その間の留守、何より私に万が一のことがあった場合の時は、よろしくお願いします」


 そうフォケナスに後事を託されたウィル、セラ、ユリィ、リタが小首を傾げるのも当然の反応だろう。


 その日の夕食後、フォケナスの私室とおぼしき質素で狭い一室に呼ばれたウィルたち四人は、今後のこの教会、何よりも神々の大戦の予定を告げられたが、何ら詳しくもない内容を聞いただけで、四人は違和感を感じまくらずにはいられなかった。


 先の神々の大戦。神代の戦いは神話が語るところ、永きに渡って争われた。それよりも三日が長いとは、どういうことか。


 疑問も違和感もてんこ盛りなウィルたちはそれが顔に出たか、四人が問いを発するより早く、


「言いたいことはわかります。ですが、我が神が大戦の開始を知ったのは、昨夜のこと。あまりに急な話ですが、我が神はその神格から予定を組むに際して、後回しにされるのです。不遜なことですが、神々の一部にはたしかに神格に問題のある方がいますから」


 言いたいことをわかっていないフォケナスが、さらに訳のわからない説明をする。


 かつて神々の大戦が起きた理由は、生きとし生ける者ためと面倒だから、という価値観の相違によるものだ。後者の理由からすれば、たしかに神格に問題ありと言えるだろう。


「まあ、わがままな神格、神経質な神格の方を優先せねば、神々の大戦を起こすに起こせないというのも、わからぬではありません。幹事役の神が大変なのもわかります。だから、我が神も急な予定に応じて参加されるのです。我が神が軽く見られているようで、業腹なところはありますが」


「……とりあえず、何が何だかわからないから、基本的なとこから説明してくれないか?」


 ウィルたちからすれば、そう言うしかないというもの。


「たしかにそうですね。しかし、私も全てを知っているわけでもなければ、今回が初参加ですから、本当に基本的なことしか説明できない。それでも言わせてもらうなら、最初の、神代の大戦よりどれだけ後のことかわかりませんが、神々は不定期、何百年かに一度、戦われているそうです。ただ、その内容は会合、いえ、懇親会という方が近いでしょうか」


 これで四人の緊張は弱まったが、困惑は当然ながら晴れない。


「なぜ、神々が不定期に集うようになったかは知りません。しかし、最初の大戦からだいぶ後、何百年かに一度、神々は集い、懇親会のような場を設けているそうです。今回の決戦の地はパコパコ温泉。そこで卓球なるもので雌雄を決するそうです」


 神々の中でも十指に入る魔獣神だが、その肉体、否、肉球はラケットを持つのに適さない。


 先の神々の大戦はボーリングであったので、魔獣神は前肢で器用に投げ、自力でピンを倒すことができた。


 麻雀やトランプなどなら、能力で牌やガードを動かすことができる。


 しかし、運動競技で能力の使用は禁じられているので、魔獣神としてはラケットを持てる者を代理に立てるしかないのだ。


 人や魔族などを代理に立てるのは、神々がちょくちょくやることで、邪神の一柱は神々の大戦インのど自慢大会で人間の歌姫を代理として参加させた例もある。


「数千年前の神々の大戦で行われたベースボールなるものでは、デッドボールなるもので負傷した神もいるとのこと。神ならば負傷ですみましょうが、人の身では粉々となりましょう」


 卓球に関する知識のないフォケナスとしては、最悪の事態を想定して手を打つしかない。


「ですから、私が卓球で死に至った場合、我が神とその供物のこと、くれぐれもお願いします」


 フォケナスが深々と頭を下げた時、不意に部屋の扉が開き、魔獣神が五人の前に姿を見せた。



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