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ゴブリンが村に向かっています

 十六体のシルフに守られたウィル、セラ、ユリィ、リタ、そしてサリアに、圧倒的な数を有するゴブリンは近づくこともできなかった。


 弓矢を手にするゴブリンはいくらでもいたが、シルフたちに矢を吹き散らされ、ウィルたちに届く矢は一本もなかった。


 逆にユリィの弓から放たれる矢は、ゴブリンに届いて射殺した。


 ユリィの能力は、偽りの魔剣を大量に具現化した後、しばらく使えなくなるので、彼女は愛用の弓矢を手にしているのである。


 ウィルも四本の槍を投げ切った後は、愛用の槍を手にせずにゴブリンの弓矢を手にした。


 二度目の襲撃を撃退した際に、ゴブリンたちの弓矢をいくつも手に入れている。ゴブリンが作っただけあり、粗悪な弓矢だがないよりマシである。


 数十の偽りの魔剣と四本の簡素な槍、さらにシルフの守りにより、ゴブリンの半数が動かなくなったが、まだ百五十匹は残っている。そして、ユリィとウィルの手元には百五十本も矢はない。しかも、粗悪な弓矢を使っているウィルは、何本か矢を外している。


 計算上、ウィルたちのみでゴブリンを殺し尽くすことは不可能なのだが、そんな計算はゴブリンの理解するところではない。


 ゴブリンは臆病で劣勢になればすぐに逃げ出す怪物だ。たくさんいた味方の半数が死に、今もユリィとウィルの弓矢で一匹、また一匹とその数を減らし、自分たちの攻撃はシルフに阻まれて届かないどころか、逆に傷つき、返り討ちにあう始末だ。


 普通のゴブリンなら、これだけの大打撃を受ければ敗走を始める。

なまじ大群なだけに、一度、統制を失えば四散するものなのだが、


「……ギガギガッギィギィ」


 ゴブリン・イグナイテッドはゴブリンたちを後ろに下げさせるが、撤退を命じたわけではない。


 一度、ウィルたちから距離を取らせ、それからウィルたちを迂回させて、ミューゼの村に向かわせたのだ。


 無論、その間にもユリィとウィルの弓矢がゴブリンに命中している。また、大きな被害に一部のゴブリンが逃げ出しはしたが、


「……ゴブリンが村に向かっています。かなりの数です。どうしましょう」


 セラの言うとおり、生き残ったゴブリンの半数は逃げ散ったが、もう半分はゴブリン・イグナイテッドに率いられ、ウィルたちを迂回してミューゼの村に踏み込んでいった。


 セラは「どうしましょう」と言ったが、ウィルたちに追いかける以外の選択肢はない。


 リタは召喚したシルフの維持を止め、五人はゴブリンたちを追ってミューゼの村に戻る。ただし、慌てて戻る愚は犯さなかった。


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