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潜んでいないか、丹念に調べるか

 ゴブリン・ファントムの雄叫びをきっかけに混乱状態から脱したその五匹のゴブリンは、落ちていた弓矢を拾ってユリィとセラ、二匹のメスを仕留めようとしたが、五本の矢はユリィとセラにかわされただけではない。


 二本の矢がゴブリン・ファントムに当たり、自分たちのリーダーにトドメを刺したが、五匹のゴブリンは気にせずに新たな矢を弓につがえ、ユリィとセラに再び放とうとする。


「風よ! 飛び来る危難を払いのけよ! エア・プロテクション!」


 リタが風の精霊に働きかけ、ユリィとセラに飛び道具を防ぐ精霊魔法を施す。


 ゴブリンの放った矢は当たり外れに関わらず、不自然な風の動きによってユリィとセラに届くことはなく、五匹のゴブリンは愚かにも新たな矢をつがえようとし、そこに突進したウィルの槍に次々と突き殺されていく。


「……助かりましたね」


 セラは安堵の息をつくが、ユリィはそれに答えず、鋭い視線で周りをうかがいながら自分の弓を拾う。


 ウィルとリタも周りを警戒しながら二人と合流する。


「そっちも何ともなくて、良かった」


「危なかったがな」


 ウィルの言葉にうなずきつつ、ユリィは短槍も拾って回収する。


 ミューゼの村を襲っているゴブリンたちは現在、中途半端な状態にある。


 リタの召喚したノームたちによって、ゴブリンたちは無秩序に逃げ惑っていたが、そのノームが消失した直後、ゴブリン・ファントムが混乱するゴブリンたちに呼びかけ、それで少なくとも五匹のゴブリンが混乱から立ち直った。他に逃げ回るのを止めたゴブリンがいてもおかしくない。


 が、戦意が回復したゴブリンばかりではなく、そのまま逃げ去ったゴブリンもいれば、未だ村のどこかに隠れているゴブリンもいる。


「まず、ひととおり見て回り、次にゴブリンが潜んでいないか、丹念に調べるか」


 ゴブリンはすでに統率を失っており、油断せずに不意打ちさえ受けなければ、不覚を取ることはない。


 今夜の戦いは掃討戦の段階に入っており、後はウィルの言うとおり逃げ去っていないゴブリンを討っていくだけだ。


 明日の夜はどうなるかわからずとも、今日の一夜を確実に越えるために。



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