そのゴブリン退治をお願いしたいのです
ウィル、セラ、ユリィ、リタのサービス作業は、四日ほどで中断を余儀なくされた。
冒険者ギルドからの呼び出しを受けたからだ。
大ネズミの駆除を終えた翌日、カイムらから報酬の四分の三を受け取ったウィルたちは、コラードの現場に足を運び、サービスで廃屋の中を念のために見て回ったが、それだけでは時間も手も余る。
だから、ウィルは解体作業を手伝い、セラ、ユリィ、リタは雑用をこなし、無償の労働力となって、コラードのご機嫌取りに努めた。
先々の利益を見越してのそれらのサービスも、ギルドからの呼び出しを無視する不利益と較べようもない。コラードや労働者たちも、四人の事情を聞くと、手伝ってもらった点に礼を言うだけではなく、
「色々と助かったよ。何か困ったことがあったら、遠慮せずに言ってきな」
そうした言葉を受けながら、ウィルたち四人は冒険者ギルドの受付に行き、そのまま奥の部屋に通された。
冒険者ギルドの奥には応接室がある。内々や秘密裏の依頼などがある場合、そこに冒険者を通して、職員が、時には依頼人が直に依頼の打診を受けるのだが、当然、そこに通される冒険者はベテランや名の知れた者に限られる。
本来、ウィルたちのような駆け出しが通されることはないのだが、
「初めまして、というのは変ですが、当スウェアの冒険者ギルドの職員で、ベルリナと言います。いつも、当ギルドの依頼をこなしていただき、そして今日は私の呼び出しに応じてもらい、ありがとうございます」
四人が冒険者として登録した際、それとモーグの村からのゴブリン退治と、コラードからの大ネズミ駆除の追加募集も対応してくれたギルド職員、長い亜麻色の髪をカンタンに後ろで束ねた、ユリィと同じくらいの背丈で、ウィルたちより二つ三つくらい年上の、柔和でキレイな顔立ちのベルリナは、四人の新米冒険者に頭を下げて、二人の先客がいる応接室に自ら案内する。
冒険者ギルドの応接室は、貴族などが依頼に来る場合を想定して、それなりに調度品が整えられている一方、室内の広さはそれほどではなく、テーブルとソファーのセットもそう大きいものではない。
冒険者のパーティは多くても七人程度。それに内々か秘密裏に依頼する側も、最低限の人数でしか訪れないから、十人くらいで余裕のある広さがあれば充分なのだ。
十人以上で話し合う場合はギルドの会議室を使えば良く、ウィルたち四人に加え、依頼人側は二人、立ち会いにベルリナの計七人なので、応接室で充分とベルリナが判断したのである。
応接室のソファーに先に腰をかける二人組は、二十代前半らしき小太りの男と、ウィルたちと同じ年頃の、栗色の髪を三つ編みにした、可愛いが暗い表情の娘であった。
ベルリナはまず、ウィルたちにソファーを勧め、四人が着席して互いにテーブルを挟んで向かい合うと、手際よく全員の前に飲み物を置いてから、自分の分の飲み物を手にテーブルの脇にあるイスに腰を下ろし、
「それでは、冒険者ウィル、ユリィ、リタ、セラ。前置きは抜きにして、本日、呼び立てた理由をさっそく説明させてもらいますね。こちらはミューゼの村の村長であるヴァラン氏とその妹サリアさん。今、ミューゼの村からゴブリン退治の依頼が出てまして、皆さんにはそのゴブリン退治をお願いしたいのです」




