表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/168

死体を焼きたいんだ

 肉食動物が視界に入ったからといって、草食動物は即座に逃げるとは限らない。


 肉食動物が近づいて来る状況で草を食み、しかし襲いかかって来ても逃げられる距離で逃げ出す。


 大ネズミは雑食だが、襲われる側にある時は、間合いを計って逃げて行く。そして、カイムは無論のこと、間合いを取られて逃げられれば、機敏なウィルやユリィでも追いつくことはできない。


 だから、ウィルは小石を当てて大ネズミの動きを鈍らせてから仕留めた。さらにユリィも、リタの投げた小石が命中した大ネズミを短槍で串刺しにしていた。


「おおっ」


 廃屋に踏み込んで一時間と経たぬ内に、大ネズミを二匹も殺した戦果に、コラードたちは感嘆の声を上げた。


「凄いな、兄ちゃんら。この調子でどんどんいってくれ」


 現金なもので、コラードは機敏を良くして発破をかけてくる。


「こっちもそのつもりだ。そのためにも、要らない廃材があったらくれないか?」


「そいつは構わんが、どうするつもりだ?」


 解体した廃屋の木材などは捨てずに売り払われるが、腐った廃材やカビの酷い木材などはさすがに捨てるので、コラードはそんなものをどうするかわからず、首を傾げた。


「この大ネズミの死体を焼きたいんだ」


「わざわざ焼く? そこらに捨てればいいだろうが」


 この世界の衛生観念は低い。糞尿はちゃんと捨てるが、動物の屍やゴミはそこらに捨てても気にしない。カイムたちも仕留めた大ネズミを適当に捨てている。


「大ネズミ、肉を焼く臭いを立てれば、大ネズミたちを誘き寄せることができる。屋根裏にいられたらどうしようないから、とにかく大ネズミを誘い出さないと話にならないんだ」


「ほう、なるほど。そいつはうまい手を考えるもんだ」


 コラードは感心し、労働者たちに売れない廃材を集めさせ、それで火を焚き、大ネズミの死体ふたつを放り込む。


 廃屋の風上で焚き火をし、臭いが伝わり易いようにしつつ、さらに廃屋から距離を取った上、コラードたちに見張りを頼んで火事にならないようにも配慮もする。


 それらの準備を終えてから、ウィルたち四人は二手に分かれて再び廃屋の中に入って行く。


 期待に満ちたコラードたちの視線を背中に受けながら。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ