あんたらは大丈夫だろうな
大ネズミの駆除を請け負い、その成果なき成果から雇い主に見限られ、追加募集をかけられた二人組の冒険者は、共にウィルたちと同年という新米で、セラやリタと同じ人間族であった。
剣士カイムは、金髪と茶色の瞳に、そばかすが残り負けん気の強そうな顔立ちをしており、ウィルより縦幅はやや低いが、横幅はやや広い。
それなりに鍛えているその体を、胸甲、肩当て、小手、スネ当てから成る、真新しい軽装鎧を身に着け、背中にやはり真新しい剣と丸盾を背負っている。
魔術師メリルは、ユリィくらいの背丈がある上、リタくらいに発育も良く、ウェーブのかかった赤茶色の長い髪と、吊り気味のアメジスト色の瞳をしており、年のわりに大人びた風貌の、知的だがお堅そうな少女であった。
彼女は子供の背丈くらい樫の杖を持ち、黒い長衣に長帽子という、オーソドックスな魔術師の格好をしていて、こちらもそれら装備はどれも新品であった。
仕事先は同じスウェアの町である。受付で新たな依頼の処理を終えた四人は、冒険者ギルド併設の宿屋で装備を整え、今回の依頼主、四十代前半らしき顔の半分が髭に覆われた、解体作業の現場監督、コラードの元に昼のだいぶ前には着いたが、
「チィッ、またガキか。しかも、見かけだけは良かった奴の次は、見かけもダメな連中ときた。あんたらは大丈夫だろうな。こっちは工期がヤバイんだ」
そう吐き捨てたくなるのも無理はないだろう。
公共工事を請け負い、十人の労働者を率い、現場に来て仕事を始めれば、そこに大ネズミが棲み着いていて、一人が噛まれてリタイア。
それでも残り九人と解体作業を進めようとしたが、大ネズミに怯えながらの作業は遅々として進まない。その内、もう一人が現場に来なくなり、仕方なく冒険者ギルドに大ネズミ駆除の依頼を出す。
そうして依頼票を持ってやって来たカイムとメリルは、見た目だけではなく、カイムは正規の剣術を何年も学び、メリルは魔法学院で学んで魔術師となったと、その背景も立派だった。
しかし、その仕事ぶり、成果は落胆の一言。
カイムとメリルが四日の間に仕留めた大ネズミはたったの二匹という体たらく。
コラードはカイムとメリルに何度も何度も、声を荒げてとっとと駆除しろと詰め寄ったが、カイムとメリルが手を抜いているわけではなく、朝から晩まで廃屋を巡っても大ネズミを取り逃がしてばかりなので、ついにコラードは二人に見切りをつけ、冒険者ギルドに追加募集をかけたのだ。
追加募集をかけるのもタダではない。報酬は当初のものから銅貨一枚も追加していないが、追加募集をかけた手数料はギルドに払わねばならない。
依頼を出しただけでも余計な出費だというのに、追加募集の手数料まで払わねばならなくなった。おまけに、作業進度も遅れに遅れているのに、工期までそう日はない。
コラードが苛立つのも当然で、ウィルたちを不機嫌な口調で問いただし、懐疑的な姿勢を取るのも無理はないというもの。
そして、このストレスの原因が後発の冒険者たちではなく、先発の冒険者であると理解しているのかいないのか、コラードはカイムとメリルを呼びつけ、ウィルたちと引き合わせるというより、共にキツイ口調で現場と工期がいかにピンチかを語り語って理解させることに努めた。
長々と。




