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第五話 幻想世界の勇者召喚―1

お久しぶりです!

ここは魔物と人の存在する世界 ゼルシカ

由緒ある大国のフレサキナは今、滅亡の危機に瀕していた。

これはそんな世界の、とある勇者の物語。



フレサキナ王城の地下深く、代々王家に伝わる儀式の間でシア・フレサは祈りを捧げていた。

足元に光る魔方陣の光が頬を照らし、汗が一筋流れ落ちる。


失敗できないーーーシアはそう考えていた。


ここフレサキナ王国には代々受け継がれる伝承があった。


『フレサキナの未来、闇に包まれし時、異世界より勇者来たらん。』


フレサキナ始まって以来の未曾有の危機に、この伝承が関わらないはずがない。

記録に残っている物だけでも、すでに三度も勇者のおかげで存亡の危機を乗り越えてきた。


失敗する要因はない、あるとするならば私の力量のみ。

命にかえてもこの儀式だけは、

成功させてみせる―――


そう決意を新たにし、儀式は最終段階に入る。

狭い空間に朗々と響く声、その声が一際高くなったとき

魔方陣は部屋を覆うように煌めいた。


光がおさまった時、魔方陣の中心には一人の人間が立っていた。

長いローブで体型を隠し、フードで顔もほとんど見えないその男に、

「私の国を助けてください……勇者様。」

と一言だけ口にし、シアは気を失った。




魔本使いは考えていた。

召喚されるのはもう何回目だったろうかと。

目の前に倒れる金髪の女を横目に、状況を整理するために本を開いた。



「ふむふむ……成る程ね。」

扉から漏れでる光と音がなくなったことに不審を感じたのだろうか、慌ただしい足音がし始める。


扉は大きく開け放たれ、暗い室内に光が差し込む。

「姫様!ご無事でしょうか!」

一人の騎士らしき人物が部屋に飛び込んで来ると、倒れる金髪の女と魔本使いに目をやり、魔本使いに剣を突きつけた。


「ここは代々王家のみ入室を許される聖域……何者だ!お前なぞが入れる場所ではない!」


魔本使いはため息を一つ吐くと、答え始めた。

「何者ねえ……まあ、僕は魔本使い。急に呼ばれていったい何だって言うのかい?」

「何故姫様が倒れておられる。答えよ!」

「知らないよ」

「何故お前がここにいる!」

「それこそこっちが聞きたいよ」

「ふざけるな!お前、バカにしているのか!」

「いやだからそれこっちの台詞……急に光って連れてこられたと思ったら、一体何だっていうのさ。」


そんな中、新たに金髪の女が入ってくる。

「話は聞かせてもらったわ!あなたがシアの呼んだ勇者様ね!」

そして真っ直ぐ金髪の女のもとへ行き、介抱し始める。

「こんなにも汗かいて……こんなところで倒れていたら風邪ひいちゃうわ。」



「オルネスあなた何やってるの!近衛の癖にシアの介抱もしないの!気が利かない男ね。」

「いえその……私は不審な人物に対応を……」

「そんなことより女性を床に倒れたままにしておくなんてどういう了見よ!それでもあなた騎士なの?」

「いえですから……こいつが姫様に危害をくわえないように……」

「王族の近衛騎士なら介抱しつつ牽制するぐらいのことして見せなさい!」

「はあ……」

「だいたい、このタイミングでネズミ一匹入らないよう警護されてるここにいる人なんて勇者様以外あり得ないでしょう? もっと考えなさいよ!」


「あの……ところで僕はどうすれば?」

「嗚呼 、申し訳ありません勇者様。私が直接お父上のもとへ連れてゆくのが筋なのですが、今少々忙しく……」

と言って少女は華美な装飾のついた短剣を手渡してくる。


「扉の前の騎士に、私からだと言ってこれを見せれば父上のところまで連れていってくれるでしょう。」

「君の名前知らないんだけど……」

「あら、名前も名乗らずに失礼しました。私はフレサキナ王国第二王女ミア・フレサ。

では失礼ながらお暇させていただきますわ。」

そういって彼女は倒れた女性と共に部屋を出ていった。


後に残されたのは、オルネスと魔本使いのみ。

「君さ、彼女追わなくていいの?近衛何だろ?」

オルネスはハッとしたような顔をすると、一目散に駆け出した!


「やれやれ、騒がしい連中だ。まあとりあえず、『父上』に話を聞いてみるかね。」


彼は扉の騎士に声をかけると、城内を歩き始めた。

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